Power outage
『 おカネなら、あげたばかりでしょ。 もう、無いの? 』
なぜ、よりにもよって 後払いの店だったんだろう・・・。
まぁ、自分のせいだ。 仕方がない。
彼女には店内で待っていてもらって、
タクシーを使って財布を取りに戻るか・・・
そういえば、カギも掛けてないハズだし。
『 あのさ、実は財布忘れちゃってさ・・・ 』
そう、少女の私に説明しようとした途端、
店内の電気がすべて落ちた。
一気に辺りが真っ暗になり、他にいた数人の客の短い悲鳴が届いた。
そして、グラスが床に落ちる音も続けて聞こえてきた。
『 な、なに? 停電? 東京で? 』
『 ねぇ、手を繋ごうよ。 』
『 そ、そうね。 あ、あなた、意外と冷静ね? 』
『 そうかな? 』
( さっき、泣いたばかりなくせにさ・・・ )
『 あ、れ・・・。 』
真っ暗で何も見えないだけなのに・・・
耳までおかしくなってきた感じがする。
『 ねぇ、ちょっと怖いかも・・・ 』
『 そ、そうね。 私も怖いわ。 』
真っ暗な店内を出口を目指して、ゆっくりと歩き出そうとした途端
物凄い音が2人の耳に届き始めた。
ガタ、ガタ、ガタ、ガタ。 ガタ、ガタガタ、ガタガタガガガガッガ・・。
『 え、今度は 何? 』
『 こ、こわいよ~ 』
『 し、しっかり私の手を握って!! 』
ガタガタガガガガ、ガタガタガガガガ、ダダダダダダッダダ。
( もう・・・どうなってるの?
地震? ビルの倒壊? テロ、じゃないでしょうね? )
しばらく姿勢を低くして、不穏な状況に耐えていると
なんだか、自分の足元が濡れているのに気が付いた。
『 なんか、濡れてる? 』
『 私も・・・同じだよ。 』
( もしかして、水道管の破裂とか? )
『 お~~~~い!! 』
( え? 何の声? しかも拡声器? 外から? )
『 なんか、ヤバそうな感じだよね。 』
『 うん。 』
私は、なんだかよくわからない展開に
今日、無事に家に帰ることができるのか
少し不安になってきた。
~つづく~




