魅惑のバナナミルクパイ、再び
自宅から靴も脱がずに、また外へ出るなど
こんな慌ただし状況など初めてだ。
いや、初めても何も・・・
幼い自分に手を引かれる状況など・・・
なんだか御伽話みたいだ。
ほんと不可思議な状況なのに、
相手が昔の自分だからなのか? 恐怖は、もう無くなっている。
小さいけど、とても温かい手。
この手に引かれるのなら、不思議と何処までも行けそうな気がしてくる。
そう、何処までも・・・
って、いうか・・・・・・・。
『 ちょっと、何処に連れていく気? 』
『 さっき、あなたが食べていたの、私も食べてみたい。 』
『 え? 』
『 バナナミルクパイ。 』
『 あ、アレ? 』
『 イヤ? 』
『 いや、別に嫌じゃないけど・・・ 』
『 じゃあ、行こうよ。 』
( 一日に二度も同じ店に入るのは、さすがに抵抗あるなぁ )
でも、まぁ・・・いいか。
『 いらっしゃいませ。 あら?・・・ 』
( ほら、やっぱり。 店員さんの呆れた本音が漏れちゃったよ )
『 あの・・・、注文いいですか? 』
『 もちろんです。 』
『 あの、バナナミルクパイを二つ。 ・・・・・それと、 』
私は傍らに立つ幼い私を見つめ、躊躇うように
『 あの・・・オススメのドリンクはありますか? 』
『 それでしたら、ビックリ・シェーキは どうでしょう? 』
『 そ、それはどんな感じの・・・? 』
『 バニラシェーキをベースに、ビックリするような濃厚なチョコトッピングを
加えたものなんですが・・・、いかがでしょうか? 』
『 じゃあ、それを・・・ 』
『 お二つで、よろしいでしょうか? 』
『 え? 』
私は店員が私の隣りを見ている気がして、
傍らの小さな私を確認すると
幼い私は、店員さんに人差し指と中指を突き出しピースサインをしている。
( もしかして・・・他の人にも見えてるの? )
『 あの、この子・・・ 』
『 お子様にも大変人気のある商品ですよ。 お二つで、よろしいでしょうか? 』
『 は、はい。 お願いします。 』
( やっぱり、見えてるのか・・・。 ちょっと、残念。 )
不思議な状況のなか、自分の惨めな独占欲が表れたみたいで、
なんだか自己嫌悪に、陥りそうになる。
でも・・・。
『 ねぇ、 』
幼い私が、私を見上げている。
『 ん? 』
『 窓際の席がいい。 』
『 ・・・・うん、私もよ。 』
なんだか、とても不思議な時間を
誰かに見られてる気がして・・・
正直・・・・ちょっと、恥ずかしかった。
~つづく~




