多情の縁
わたしは、恥ずかしさのあまり
咄嗟に顔を隠してしまった。
『 うっは! お姉さん、マジ可愛過ぎんですけど・・・。 』
と彼女さんの嬉しそうな声が届く。
そして、
『 ・・・・・なんか、弟が世話になったみたいで・・・
どうもありがとうございました。 』
と、彼氏さんの柔らかい挨拶が 聞こえてくる。
『 お、弟さんでしたか・・・・お互いに怪我がなくて良かったです。
それに、別に、お世話だなんて・・・・・
一緒に、ニワトリを捕まえただけです。 』
わたしは なんとか赤くなる顔を擡げて
説明のような挨拶を付け加えていく。
『 マジ、うける~~~。 世間狭すぎぃ。 』
彼女さんのキャッキャッと喜ぶ声が、また届き
わたしは 沸騰しそうなくらい顔を紅潮させた。
『 あ、あの・・・・・。 』
『 は、ぃ? 』
『 あの、オレもいいっすか? 一枚・・・。 』
『 ぶっ! 出たよ、兄弟そろってバカだね~~~~。 』
『 う、うるせーよ。 』
その要望に、
わたしも、なんだか笑いが込み上げてきた。
今度は 別な意味で顔が赤くなってくる。
なんか、うん。 嬉しくなってきた。
よくわからない・・・けど。
うん。
わたしは、いま・・・笑えている。
そう・・・彼女に、一番いい笑顔で会えそうだ。
そんな気がする。
『 わたしも、一緒に写っちゃぉ 』
『 おい。 』
『 いいじゃん、ねぇ? 』
『 一緒に撮りましょう。 』
『 やっほ~~~!
ねぇ、私の携帯でも撮ってよ。 』
『 撮んねぇよ。 』
彼女さんの首には
被っていないが 少しツバの広めな麦藁帽子の紫の紐あり、
彼女はおもむろに紐を伸ばし、帽子を取りだした。
『 これ、あげる。 』
『 え? 』
『 記念に・・・さ。 』
『 いいの? 』
『 バカな弟2人がさ、写真を撮りまくって、
そしてジュースまで貰ったんじゃ・・・
姉としては、なんかしないといけないじゃん。 』
( え、えっ~~~~~~~~!!!!! )
私は驚愕を飲み込みながら、なんとか彼らの関係を
頭の中で理解させる。
ぜんっぜん、気がつかなかったなぁ・・・。
でも・・・
そんなことは、もう どうでも・・・。
『 今日は暑し、ちょうどいいでしょ?
それ、私のお気に入りでさ。
ツバの縁を黒布でトリミングしてあってさ、
あ、紐は無かったのを私が付けたんだ。
カッコいいでしょ? 大事にしてね。 』
そう言うと、彼女は照れくさそうに軽く笑った。
『 あ、ありがとう。 』
私は、いつしか彼女の手を握って
感謝の気持ちを表していた。
そして、
『 う~~~ん。 弟より良いのが撮れた。 』
満足そうな御兄さんの声が、私の背中に優しく届いた。
~つづく~




