ルート38、再び
頬をつたう汗を右手で拭いながら
ズンズンと、私は力強く前へ進んでいく。
不思議にも疲れは ほとんど感じず、どこまで歩いていけそうだ。
でも、
もう、かれこれ2時間以上は歩いている。
日差しも強く、今日一番高いところまで日が昇り
北海道の大自然の緑、そして右隣にある大きな河川の水面を映している。
( すこし、水分補給も兼ねて 足を休ませないと・・・ね。 )
誰に訊ねること無く、本能的に思うがまま足を進めてきたが、
はたして
目的地である「 ハルニレの木 」 は、こちらの方角で合っているのだろうか?
なんの確証も無いのだが、なんか間違っている気が全然しない。
我ながら、すごい自信だ。
( あっ・・・、すっごい大きな橋。 )
私の右前方に大きな橋が見えてきた。
もちろん、橋を往来する人影も・・・ちらほら、ある。
『 はぁーーー。 』
わたしは安堵の吐息を漏らし、少し歩幅を緩めたが、
しかし、
はやる気持ちが優先してか、辺りの様子をもっと見ようと
少し駆け足で先を進んでゆく。
しばらくすると、
前方に「 十勝国道 」との看板が小さく見え、
青標識の38の文字も確認できた。
そして、
【 はるにれのマチ、とよころ 】
と書かれた観光看板を見つけた。
『 おぉ~~~~~~~~!!!! 』
わたしは、大走りに看板に駆け寄ってみるが
文字だけで・・・場所が・・・それ以上の情報が明示されていなかった。
だけど、
私の目の前に38号線の道路がある。
立ち尽くす私の前を数台の車が通り過ぎていく。
( と、とりあえず・・・近くまで来たわね。
なんかテンション上がってきた~~~!!!! )
そ、そうだ! 落ち着け、わたし!
取りあえず、水分補給はしないと・・・。
近くに自動販売機は、あるかしら?
わたしは、少し目を細めながら注意深く
国道沿いの道なりに目を凝らしてみると・・・
『 あ、あった。 あった!!! 』
あの、独特の赤い自動販売機が私の目に映った。
私は、車の往来を一応確認して
向こう側の路面に位置する廃店舗の横隣りに鎮座する
自動販売機の前に立ち尽くす。
『 う、動いているわね。 よし。
とりあえず、ペットボトルの水を一つ・・・そして、
あの子は何がいいかしら? うぅ~~~ん。
・・・・・少しオレンジの入った水でいいか? 』
わたしは独り言をいいながら千円札を入れ、購入ボタンを押していく。
ガシャン。 ガシャン。
気持ちの良い冷たさの容器を2つ取り出し、
そして、釣銭レバーを引く。
引く・・・・・あれ?
もう一度、引く!!
『 って、なんで お釣りが出ないの?
こ、壊れてるのかしら・・・ 』
( あ・・・おまえ、光っていたのか・・・。 )
わたしは釣銭切れのランプが全て点灯しているのを
今更ながら、確認した。
( ど、どうしよう・・・かなぁ・・・・。 )
『 ちょっと、オバサン!! 待ってんだけど!? 』
『 えっ? 』
『 え、じゃねぇよ!! 』
突然、背後から響いた怒声に驚き
振り向いてみると、
私の後ろに、ちょっとコワモテの御兄さんが一人
その彼の後ろに、今時風の若い御姉ちゃんが一人
わたしに顎を突き出すように、私を見据えていた。
( ひぃえ~~~~~~~~~ぇ!!!!! )
~つづく~




