ありったけの笑顔
川面がキラキラと、眩しくもあり
きれいな輝きを纏っている。
わたしは、いつしか出くわした川べりの道を
ゆっくりと歩いてゆく。
そして、これまでのこと
小さなワタシのこと・・・
あの豚丼の売り子とファストフードの店員の同一性について
もちろん、これからのことを考えながら歩いていく。
私の現実って、何なんだろう・・・。
このまま、気楽な放浪の旅など・・・
人は何て思うんだろ。
でも、
これは自分の人生。
誰かに褒めてもらうためのモノじゃない。
わかってる。 わかっちゃいるけど・・・。
やっぱり、わからない。
無の心。 喜びの笑顔。
さっき、少年に向けた笑顔は
心からの笑顔だ。
だから、
列車から降りてしまったのは 正解だった。
でも、やっぱり考えてしまう。
わたしって、ほんと弱く・・・そして、情けない。
そんな惨めな気持ちに捉われていると、
『 あれ? 』
ふと気が付くと、
私の目の前に 1頭の小さな白犬が立っていた。
その犬は、もちろん逃げもせず
私がやってくるのを待っているようであった。
( そうよね。 だって、さっきまでいなかったし・・・
なにか目的を持って・・・って、これか!? )
わたしは、豚丼の入った袋を確認する。
うん。
やはり、少し匂いが漏れている。
っていうか、この好天気のなか・・・大丈夫なのかしら?
わたしは注意深く においを別な意味で再確認する。
な、なんか・・・よくわからない・・・。
『 う~~~~ぅ、わん。 』
なんとも、か弱い吠えが一つ届いた。
( な、なにっ? 狙いは、これ!?
って、いうか飼い犬・・・では、ないの? )
わたしは前方の子犬の首輪を探してみるが・・・見つからない。
そして、周りに民家など・・・一つもない。
( これって、もしかして野良犬? )
よく漫画とかで拾われる子犬のイメージが強いけど・・・
北海道の見知らぬ土地で、私の前に立ちはだかり
明らかに私のお昼ご飯(2人分)を狙っている白の野犬は
子犬といえども、なんか・・・お、恐ろしい。
『 う~~~~ぅ、きゃん。 』
あれ、なんか吠え方が変わった気が・・・する。
( おおぉ・・・。 そ、そういうこと・・・かぁ・・ )
私の目の前に、
もう一頭の・・・白色の子犬が現れ、
合計2頭の子犬が・・・私の目の前に、って・・・。
『 う~~~~ぅ、きゃん。きゃん。 』
『 う、嘘でしょ!? 』
( 3頭・・・4頭目って・・・・。
あ、あんた! いったい何人家族、いや何頭家族なのよ!? )
わたしは、次々と現れる白色の小さな野犬たちを目の前に
しばし驚愕し、恐怖した。
それから
わたしは彼らと少しの にらめっこをした後、
なんだか、笑いが込み上げてきて
その場で、声を出して笑ってしまった。
わたしは なにか吹っ切れたように、豚丼定食の入った包みを取り出し
地面にゆっくりと2つ、子犬たちに見えるように置いた。
( 小さなワタシよ、ゴメンね・・・。
豚丼は、そう・・・お店で食べさせてあげるから、ね。 )
わたしは
ありったけの笑顔を子犬たちに向けながら、
川べりの道端に沿って ゆっくりと歩み始めた。
その様子を見た子犬たちは
ビックリするような駿足の動きで、私の元いた場所に群がり
『 クッ、グッッ 』とか息を漏らしながら
慌てて私たちの昼食を食べ始めた。
わたしは その様子を振り向き様に確認し、
そして
もう誰も見ていないのに
ありったけの笑顔を崩さずに、前を向いて再び歩き始めた。
~つづく~




