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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第二章 忠騎士の章

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第35話 罪悪感をも隠す演技

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「ルーモアが俺じゃなくてお前を信用する理由がなんとなく分かった気がするな」


 エクエはそう言って僕の肩に手を乗せ、続ける。


「第一にお前は演技が上手い。それから第二にお前は演技をすることに対しての罪悪感がない」


 エクエは指を1本、2本と立てながら僕のことを分析する。


 僕はエクエのことを少し軽視していたのかもしれない。エクエはただ素直なだけの脳筋騎士などではなかったようだ。確かにエクエは僕よりも長く生きているし、より多くの人間と関わったことがある。人間観察能力が成長せざるを得ない環境にいる。


 演技が上手い、と自画自賛をするつもりはないが、元は自衛とはいえ他者を騙すために磨いたのが僕の演技力だ。他者を騙すことに対する適正は他人に比べれば高いのかもしれない。


 しかし、僕も人間だ。いつか長く生き過ぎたことが原因で本来の自分を失うかもしれないが、死後間もない僕は少なくともまだ「人間」を演じられているだろう。


 罪悪感がないのではなく、自らの感情を隠すのに特化しているのが僕の演技。つまり、ルーモアに対する不満も、リアスとヴェルスに対する心配も、外部から見れば僕が思っているよりも表現しきれていないのだろう。だから、僕の感情が平坦に、かつ罪悪感を感じていないように見えるのかもしれない。


「エクエ、僕の演技は確かに人を騙すために磨いたものだよ。と言っても、騙して悪事を働くためなんかじゃなくて、自分の感情を他者に見せないため。それこそ、エクエに僕の罪悪感が見えないほどにね」


 僕の肩を掴むエクエの手に力が入る。


「僕は『アズマ』という役を即興劇エチュードで演じる役者なんだよ」


 エクエの手が僕の肩から離れる。


「『人間は皆、役者』を地で行くってことか?」


 「人間は皆、役者」。この言葉はとある劇に登場する有名なフレーズだ。この劇を演じたことはないものの、ただ、有名だから知っている。そして思い返すたびに、何故だかストンと心に納まる心地の良い言葉でもある。


 そして僕の頭の中に再び浮かび上がる疑問。もし僕が「アズマ」という役を演じる役者であるのならば、その「アズマ」が登場するのは誰が主演の演劇なのだろうか、と。


 エクエはそれを拒否した。彼が主演であるのならば、騎士とその主人という王道の組み合わせの恋は、困難を経験したとしてもハッピーエンドで締められるからだ。


 僕としては、リアスとヴェルスの仲直りの場に立ち会う、仲裁的な存在にでもなれれば嬉しいのだけれど。


「そうなのかもね」


 僕はとりあえず曖昧に返答した。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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