第31話 モブ×∞<主人公
――ピピッ
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「いいよ、君たちの話に乗ってあげる」
ルーモアは案外好奇心が旺盛で、面白いことが好きなようだ。裏社会で生きる情報屋がそんなんでいいのだろうかとは思うけれど、まぁ僕たちが無害であると判断したんだろうな。
「ちなみに正当防衛は通用するよ。正当防衛が許されないと、私立探偵たちの武力行使が認められなくなっちゃうからね。警察の武力行使は法律で許されるけど、私立探偵や僕みたいな情報屋とかはそうじゃないから」
そりゃそうだ。今のこの街では警察と私立探偵が同盟を結んで治安に対処している。警察には出来て私立探偵には出来ないということはあまり多くない方がいい。同盟関係というものは、出来る限り対等でなければすぐに破綻する。
「じゃあルーモア、リアスとヴェルスの釈放に手を貸してくれるのか?」
エクエは興奮気味に聞く。しかし、
「まさか」
ルーモアから返って来たのは拒否。
「今までの会話からして、そんな簡単な話じゃないはず。ね、アズマくん」
しかも、何故かエクエではなく僕を名指しする。
僕は返答を考える。今回の事件を利用するということは間違いないだろう。ならば、どの情報をどのように利用するのだろうか。先程ルーモアはこの街の治安は表に出ていないだけでかなり悪いと言っていた。もしこの治安の悪さを表に出せたら、僕たちにとってもWin-Winなのだけど。賭けに出ようか。
「こんな機会、利用するしかないということかな。裏社会のちまちまとした抗争を表舞台に引きずり出す、とか」
ルーモアはさらに試すような質問を重ねて来る。
「表舞台に引き出したら何が出来る?」
観測係としての答えは「パピリオとティネアを帰還させることが出来る」だ。しかし、ルーモアの客としての答えはそうではない。そもそも、ルーモアはそのようなことを望んでいないし、ルーモアとしても、警察と私立探偵の同盟としても、彼ら自身での解決を望んでいるはずだ。
であったとしても、この世界はフィクションだ。「主人公」以外が3人寄ろうが何十何百と寄ろうが「主人公」には敵わない。じゃないと、世界のバランスが悪くなる。「主人公」を魅力的に見せられなくなる。それに、依頼人を死なせない世界には、パピリオとティネアがいた方がより安全になる。
僕たちは目の前にいるルーモアと、今後共闘していくことになる同盟のメンバーの意思を踏みにじる行為をしなければならない。
であれば、ルーモアに何と答えるのが正しいのか。「嘘」を言うしかない。
「まず、住民を避難させることが出来る。そしたら、今回殺された不動産屋みたいな無関係な人が死なずに済む。それに、この治安の悪化を住民に知られたくないから出来ていなかった行動もあるはずなんじゃないかな?」
これは「表舞台に引き出したらできること」ではない。「今後の抗争時に僕が望む環境」である。やはり「嘘」は完全な嘘にしないことに限る。僕だけが即興劇を演じるのであれば特に。
――ピピッ
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