第30話 嘘には一部真実を
――ピピッ
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「ところで、君たちは僕から情報を買いたくて来たんだっけ?どんな情報が欲しい?今なら初回サービスで半額にしてあげるよ」
そう言ってルーモアは得意げに頬杖をついた。
「そのうじゃうじゃと出てきた奴らに、お前は情報を売ることはあるのか?」
エクエは早速僕たちが昨日考えた仮説から確かめ始める。確かに世間話的な情報ばかり入手していたら、お金がいくらあっても足りないだろう。
こういう時はすぐに話の内容に入らなければいけないって覚えておかないと。
「流石にお客様の情報を漏らすわけにはいかないかな。だって俺別にまだ君たちのこと完全に信用しているわけじゃないし」
そりゃそうだ。僕たちは昨日出会ったばかりで、その出会い頭に仲間になりたいと急に言ってきて、怪しさ満点だ。それに加えて、エクエは謎に馴れ馴れしい。
エクエを横目に見ると、少しだけ悲しそうな顔をしている。やはり、以前の観測ではルーモアとそれなりの関係を築いていたのだろう。僕にもいつかこんな機会が来てしまうのかもしれない。例えば、ユーと敵対関係になってしまうとか。まぁ、そんなことはないか、流石に。
それはともかく、今のルーモアの発言は、彼が情報屋として仕事に忠実で、かつ信用できるということを示しているのではないだろうか。金をくれればどんな情報も漏らしてしまう情報屋なんて、便利ではあるけれど信用はできない。
「それなら、その言葉を『ルーモアさんがどこにも情報を漏らさない』という信用として受け取ってもいいかな?」
ルーモアは意図が分からないのか、首をかしげる。
「僕たちの身を守るためにも、貴方に信頼されるためにも、僕たちにとって不都合な情報を渡すってこと」
「成程な」
エクエが隣から感嘆の声を漏らす。どうやらエクエから見てこれは変な行動でもなければ、作戦が不利になる行動でもないらしい。安心した。
「リアスもヴェルスも僕もエクエも不動産屋は殺してない。別の人物が殺したところを目撃してる。でも、その人物は次に僕たちに襲い掛かってきた。で、エクエが護身用に持ち歩いていたナイフで攻撃したんだけど刺しどころが悪くて相手が死んじゃったんだ」
嘘を吐くとき、真実の中に嘘を織り交ぜると良いと聞いたことがある。
「証拠はその死体とそこに残された傷になるのかな」
ルーモアは考え込んでいる。上手く絆されてくれるといいのだけど。
「今のこの街でも、正当防衛って通用するのかな」
僕は悩んでいるルーモアに追い打ちをかける。もしこれが正当防衛として認められるのであれば、僕たちはちょっと罰金とかはあるかもしれないけれど、完全に黒ということは無くなるはずだ。
――ピピッ
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