第19話 適材適所
――ピピッ
全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。
「ごめん……」
僕はそう言うも、血を見たくなくて顔を上げることはできない。
「アズマ、もしかして血がダメなタイプか?」
僕はエクエの質問に深く頷いた。
「そうか。もう大丈夫だぞ。オレが使うのは水素と酸素を操る錬金術、要するに水の錬金術だ。殺されてしまった不動産屋のスタッフは清めたし、オレの服に付いちまった返り血も綺麗にしてある。もちろん道も清掃済みだ」
そして軽く背中をさすってくれる。
「取り敢えずオレは後始末をするから、リアスとヴェルスはアズマと先に帰っててくれるか?アズマを休ませてやって欲しいんだ」
しかし、ヴェルスはそれを拒否した。
「いや、むしろ後始末の方は俺たちに任せてくれ。俺たちはお前みたいに話し上手でも聞き上手でもないからな」
「それもそうですね。『適材適所』というやつです」
リアスがそれに賛同し、ヴェルスはすぐ不動産屋のスタッフを抱えると、二人は街の方へと去って行ってしまった。
「成程な。あいつらから見て、今のアズマへの対処療法はそっとしておくってことじゃないわけか。襲ってきた奴も殺したとはいえ、いつ誰が来るか分からねぇし、部屋帰るか」
確かに、今は話した方がスッキリするかもしれない。それに、こんなことはあの二人には話せない気がする。二人は二人で何かを抱えているようだし。信頼関係を築くためにはある程度話さないといけないとは思うけれど。
なんとなく予想していたけれど、やっぱりスタッフを殺した相手は始末されたようだ。ヴェルスがスタッフしか運んでいなかったあたりをみると、死体はそのままにされたか、処理されたか。
「アズマ、立てるか?」
エクエはそう言って手を差し出してきたが、申し訳なくてその手を取ることはできなかった。
「大丈夫だよ。ちょっとは回復したから自分で……」
少し頭がふらついたが、なんとか立ち上がり、手すりをたどって階段を上る。
「えーっと、防音用の賢者の石の欠片はどれだっけかなー」
先に部屋へ到着していたエクエは、ポケットの中をガサゴソとあさっている。
「お、……あった!」
エクエは欠片を起動させ、防音空間を作り出す。最も、僕がそれを目で見ることは出来ないけれど。
「さて、話したくなかったら無理しなくてもいいからな。それに、一気に話すと精神的な負担になっちまう。少しずつ話していこうぜ」
エクエと僕はゆったりとソファに腰かけた。
「取り敢えず、お前の様子を見るにただ単純に血が嫌いってわけじゃなさそうだな。……過去に誰かが、家族や友人が目の前で殺された。違うか?」
――ピピッ
全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。
全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。




