第11話 次は立場を変えて
――ピピッ
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「詳しい話はまた後日で。今日の僕はカフェの店員ですから、僕が情報屋をしているときにまた会いに来てくださいね」
ルーモアはエクエにデザートを配膳しながらそう言った。確かに、ルーモアの本拠地ではない場所でリスキーな話題を話すべきではないか。ここはあくまでカフェだから、防音だってちゃんとしていないだろうし。
「うっま!最高だな」
エクエはそう言って美味しそうに食べる。一口は大きく、やや豪快だ。美味しいとはいえ、ちょっとワイルド過ぎやしないだろうか。
「こんな美味しいアップルパイ食べたの何年振りだろ」
「ふふっ僕の友人にもそう伝えておきますね」
ルーモアは年相応の少年のように嬉しそうな笑顔を見せた。
「それに比べてオレの幼馴染ときたら、何でもかんでも食べ物に薬草をいれるんすよ?」
エクエが漏らした愚痴に、みんなで自己紹介し合っていた時の記憶がよみがえる。確かヨハナが料理をするのが好きだと言ったときに、エクエが全力で首を横に振っていた。
つまり、ヨハナとエクエは幼馴染同士ということか。神援者は選ばれた人しかなれないみたいだけど、知り合い同士が同じ部署ということもあるらしい。
「ずいぶんと変わった幼馴染をお持ちのようですね」
ルーモアは楽しそうに笑っている。
「サービスのクッキーも良かったらどうぞ。幼馴染さんの悪癖が治ることを祈っておきますね」
やがてエクエが食べ終わり、僕たちは店を出ることにした。
「じゃあ、今度は情報屋・ルーモアとして貴方たちとお会いできる日を楽しみにしていますね」
エクエは小銭袋から貨幣を何枚か出して代金を支払う。そうだ、ここの金銭価値や各硬貨の値段についても後で学ばないと。お金については前回の観測の時は完全に係長に任せっきりだったし。
僕たちはカフェを出て、少し離れたところにある川沿いのベンチに腰掛けた。
「まさかこんなに早くルーモアと会えるなんてな」
第一声を発したのはエクエ。
「計画とずれたが、大丈夫なのか?」
ヴェルスの不安そうな声に、エクエは親指を立てた。
「ま、オレたちが最後のピースぽかったじゃん?だから平気平気。最後のピースになってあの教会付近を担当することが計画の根本的なところだからな」
確かに、出会うタイミングを遅くしようとしたのは、それを狙うためだったし、結果オーライというわけか。
「エクエ、話は変わるけど、ヨハナさんとは幼馴染なんだね。さっき料理に薬草を入れる幼馴染がいるって話していたけど」
すると、エクエは照れ臭そうな顔を見せた。
「ご明察!オレとヨハナは幼馴染。ま、元主従関係とも言えるけど」
意外と複雑な関係性ではなさそうだ。幼馴染同士が騎士と令嬢という恋愛小説はこの世にごまんとある。実際にそういう関係性だったいという人物の話を聞くのは始めてだけど。
――ピピッ
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