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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第二章 忠騎士の章

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第10話 アンフェアと貸しは0でいたい

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「えっと、エクエさん。取り敢えず席に座ってください。メニュー表も置いてありますからご自由に注文してくださいね」


 ルーモアはやや興奮気味のエクエを落ち着かせるように、彼を席へと案内した。エクエは僕の隣に座る。


「ルーモアさんは確か情報屋さんなのですよね?一体またどうしてカフェでスタッフを?」


 メニューを選んでいるエクエに代わってリアスがルーモアにそう尋ねた。


「今日はたまたまですよ。この店を運営している友人がどうしてもと言うので。ですので、少々注文の品をお出しするのに時間がかかったというわけです」


 僕たちが出会えたのは本当に運だったということか。今まで運がいいという自覚を抱いたことなどないけど、僕は案外運がよかったりして……なんて。


 まぁ、実際運がいいのは係長やエクエだったんだろう。彼らは「物語の主人公」に相応しい人物たちだからだ。様々な人物をまとめ上げるリーダーに、元気いっぱいの騎士。それに比べて僕はどこにでもいる、ちょっと演劇が得意なだけの高校生。


 僕が主人公の物語なんて、どこにも存在し得ないだろう。僕みたいな流されるままに生きる人物は主人公に相応しくない。


 主人公は大きな目標を持って生きている。魔王を倒したいだなんていうものでも、静かにスローライフを送りたいというのでも。でも、僕にはそれがない。


 「演劇を続けること」は、僕が生き続けることとイコールであり、生きる目的ではない。強いて言えば、目の前の仕事をこなしたり、リアスとヴェルスと仲良くなりたいとか彼ら同士を仲良くさせたいとか思ったりするけれど、それは一時のものだ。


 生きる目的を探すことも、生きる目的になるのだろうか。まぁ、そういう願いを持つ人物はたいていそれを「主人公」から与えられるわけだけれど。


「そうだ、僕だけ素性を知られているというのもフェアではありませんから、貴方たちの素性についても教えていただけませんか?僕は情報屋として、商売人として、アンフェアは好きではありませんから」


 僕とそう年が変わらないというのに、精神の成熟度の高さが伺える。僕が取り敢えず全員を代表して演技(うそ)で誤魔化した。


 情報屋のルーモアであれば、この街に住む人々にも詳しいはず。だから、この街に元からいた様に振る舞うのはリスキーだ。


「僕たちは最近隣町からここに帰って来たんです。前までは探偵と警察の仲が悪かったのが居心地悪くて。でも、今はルーモアさんのおかげもあって良くなったと聞きまして帰って来たんです。とはいえ、治安が若干悪くなっているように感じましたので、ルーモアさんに声を掛けて僕たちも何かを手伝えないかと思っていたところだったんですよ」


 情報屋として嘘を見抜く力が高い可能性のあるルーモアに通用するだろうか。ルーモアはメインキャラだから、他のキャラと違って能力がずば抜けて高いはずだ。これがフィクション世界の厄介な部分だというのが良くわかるようにはなってきた。


「僕はアズマです。どちらかと言えば戦いは得意ではないけれど、役に立てる部分はあるかと思ってます……」


 急に自信がなくなって語尾は声量がやや落ちたものの、何とか言い切った。


「で、オレがエクエ。そっちの二人はリアスとヴェルスな。ついでに注文させてもらうと、オレはコーヒーとアップルパイを頼みたい」


 僕たちの素性を大方理解したようで、ルーモアは満足げにうなずくとエクエから受けた注文の準備を始めた。


「丁度人手が足りなかったので助かります。しかも、あと1グループあれば……!ってところだったんですよ。なかなか見当たらなかったので本当に良かった」


 そう言えば、僕たちの最初の作戦だとルーモアと出会うのも担当場所を境界付近にしてもらうよう強請るのももっと後の時間軸だったはず。少し早くなってしまったが、上手くいくことを願おう。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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