第八十五話 大人への階段……?
スウェットの上下を着た祐希はタオルを首にかけていた。
まだ髪の毛が濡れている。
それなのに自分のことは後回しにドライヤーを持って来て
「カコちゃん髪の毛乾かさせて」
「え?琥原くんがやってくれるの?」
「うん」
『ちょっと嬉しい』と思う薫子。
「えーと……宜しくお願いします」
「うん!」
薫子の髪を優しい手つきで髪を乾かす祐希。
「髪の毛伸びたね」
「うん、少しね……でも琥原くんも伸びたよね?」
「うん、少しね」
笑ってる祐希の声に
「何それ?マネして」
祐希の方を振り向く薫子。
思ったより近い。
祐希がドライヤーを止めて薫子に口づけした。
プールでのキスとは違う熱を感じる。
自然とお互い抱きしめ合う腕に力が入り、気づくと薫子は祐希に押し倒されていた。
「カコちゃん会いたかった」
「私も」
口づけがどんどん激しくなる。
薫子はぼんやり、『これが高校時代色々なことを先に経験してたオマセな子達が話してたこと?何これ?怖いけど力が入らない』と思っていた。
祐希の口づけが首すじに落ちて行く。
薫子のバスローブの紐がいつの間にか解かれている。
少しずつ開かれる襟元に祐希の息遣いが荒くなる。薫子は逆に声を出すのが恥ずかしくて、口を開けない様にに手で口元を抑えた。
「……こんな綺麗な肌、見たの初めてだ」
祐希が言った。
その時、
「今、なんて言った?」
薫子がパチっと目を開けて祐希に向かって聞く。
「…こんな綺麗な肌、見たの初めてだって言った」
「誰と比べたの?」
「え!?何?」
「他にいないなら、その言い方おかしいでしょ?」
「え?え?何で?俺カコちゃんが初めてで」
薫子は急に起き上がると
「さっき初めてだって言ったよね?過去形だよ…
好きとか電車に乗せたくないとか言ってたけど、そんな彼女を二ヶ月放置した人は信用出来ないよ」
「それにも理由が!」
「どんな理由でも、この二ヶ月……どれだけ寂しかったか、他にも綺麗な肌見て来た琥原くんには分からないよ!」
薫子はリビングを飛び出て行ってしまった。




