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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第六十一話 志木先生との思い出②


「こんな事ってあるんですね!志木先生のお陰で打ち放題です」



今は祐希が一人で射場に立っている。

射法八節を守って弓を射る。


その後ろから志木と薫子は並んで正座し見守る形だ。


通常であれば、的のどこに当たったのか?矢を回収するなど係りがあるも今日は人数が少ない為、順繰りに一人ずつ射手となり四矢ずつ放つを普段より動作に時間をかけてゆっくりと繰り返すことになった。


志木は、私語厳禁、静寂を重んじる弓道だが、交際をしているはずの二人に距離感を感じて薫子に少し尋ねてみたくなった。


「喧嘩でもしたんですか?」

「え?誰とですか?」

「五代先生から、ちょっと聞いています。琥原くんとのこと」


『五代先生のお喋り!腕が立ったって、陽子お姉さんには志木先生みたいな人が良かったのに』


陽子お姉さんと言うのは、薫子の小さいおじいちゃんの娘で月子とは歳の離れた従姉妹(いとこ)にあたる。


薫子は歳の若い陽子のことを陽子お姉さんと呼んでいた。


陽子には兄がいるが、元々弓道に関心がなく大学を出ると外資系企業に勤務し、今は米国(アメリカ)の永住権を取得し日本に帰って来るのは数年に一回だった。


五代は次期弓道場の跡取りと決まっており堂上陽子と結婚と同時に堂上に改姓しているが、教士となる段位としては六段を取るまでは、まだまだ修行の身と自ら旧姓を名乗っていた。


「ケンカはしていません」

「であれば、どうしてよそよそしいんですか?」

「……あの、お医者さんの志木先生から見て、あの方の骨格ってどうですか?」

「骨格?まあ外科医として言えることは……」


祐希が堂上の指導を家人にやめさせられた後、薫子が試験的に中学校一年生の時に、当時医大生だった志木と道場で交流があった。


当時も忙しい講義合間を縫っての道場通いの志木だったが、腕前も(がたい)もいい好青年だった。陽子はその当時、志木のことを好きだったのを薫子は知っていた。


志木の方がどう思っていたのかはわからないが、インターンを経て大学病院勤務になって、ほぼ休む暇もなく働き詰めになり、道場にも籍はあるもののほとんど来られなくなっていた間に陽子は五代と結婚した。


そんな志木が陽子の出産の時に五代の代理でここに来るなんてと、薫子は何だか複雑な気持ちになっていたのだ。


「至って健康そうな10代後半の男子に見えますけどね」

「本当に?」

「何が心配なんですか?どこか調子でも悪い様には見えませんが」

「男の人に見えますか?」


「何言ってるんですか?どう見てもくびれもないし男性でしょう。」

「くびれ?」

「ウエストラインですよ。」

寸胴(ずんどう)の女子だっています」

「彼が女性かもしれないって事ですか?」

「いえ、聞いてみただけです」


「相変わらず突飛なことを言い出すお嬢さんだ。面白いですね薫子さんは」

志木が笑う。


『こっちは何をどう考えればいいか分からないんだってば!』


薫子が思っていたところで、祐希が射場から下がって来て、薫子の順番が来た。


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