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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第五十六話 不機嫌な薫子


梅雨どきは湿気でケント紙が波打ち、ロットリングのインクが乾きにくくて苦労する。


そんな中一番早く課題の提出をしたのは、やはり祐希だった。


薫子が急ぐのを見てピッチをあげたのだ。

そして徐々に学生が減って行く中、木元達も提出を終え声掛けして来た。


「オレら学食で、ちょっとダベって行こうと思うんだけど二人はどうする?」

二人きりにしない方がいいかもと思っての配慮だ。


祐希はそれに応えて

「俺はカコちゃん待つから」

と言うも


「急がされてるみたいで気が散っちゃいます。琥原くんも皆さんと学食行ってて下さい。後から行きますから」

祐希の方を見もせずに薫子はロットリングを動かしながら言う。


初めての不機嫌そうな薫子の接し方に、これ以上怒らせたくないと思った祐希は

「分かった……」

と言って、皆と移動して行った。


その後、薫子はスピードアップして、透視図法(パース)の課題のインクが乾くのを待っていると、助手の坂崎がやって来て


「教授が進捗見て来てって言うから来たんだけど、インクの乾き待ちなら、預かっておくから提出は明日でもいいから、もう帰っていいって」


「え?」

「今日、何か君髪の毛濡れてるでしょ?風邪でも引いたら困るからって」

「まだ終わってないのに途中で帰るなんて出来ません!!」


それを聞いていた近くにいた鈴木が

「今日、髪の毛がびしょ濡れな三枝さんがインクの乾き待ちしなくてもいいと思うやつー!!?」


残りの三十人くらいに声を掛けると、皆が揃って手を上げて「意義なーし!」と口々に言ってくれた。


「でも、それはおかしいです!最後までやらせて下さい!お願いします!」

「でもさ、君、顔赤いよ…熱ありそうだし」


坂崎に言われて薫子はそこで急にさっきから何となく寒気を感じていたことに気づいた。


「ここで学ぶと決めさせて頂いた時、男女関わらず同じ条件でとお願いしたはずでしたよね」

「うん、まあそれはそうだけど」

「ではもう少し頑張ります」

「本当に大丈夫なの?」


「はい、大丈夫です、ご心配をおかけして申し訳ございません。皆さんもご心配をおかけしてすみません!!」


「意義なし」と言ってくれた三十名ほどに声を張り上げて伝える。


あくまでも百人製図室の一員としての信念を貫き通すと心した薫子だったが……


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