第五十話 やはり今日のところは……
月子に夕飯を誘われる祐希。
「女性お二人のお宅にご主人であるお父様のいらっしゃらない時には、やはりお邪魔出来ませんので……せっかくですが申し訳ありません」
「そうか、残念だけど、無理言っても悪いもんね」
「すみません。ですが元々、お父様がいらしても今日はご家族でお夕飯の日と伺っておりましたので、玄関先で失礼するつもりでしたので……」
祐希が答えた時、薫子が残念そうな顔をして階段を降りて来た。
「琥原くんに"縦巻きロール"見せたかったのに中学の卒業アルバム見つからなかったです……」
「え?それ探してくれてたの?」
「だって信じてくれてなかったみたいでしたから」
薫子が言うと、祐希が月子の方をチラッと見た時、月子はニコッと笑ったので
「ごめんね、信じてるよ」
と答えた。
不用心だから玄関でと言う祐希の言葉に薫子は木戸のところまでと譲らず、月子とは玄関ドアで挨拶をした後、二人は八段の階段をゆっくり手を繋ぎながら下って行く。
「今日も有難うございました」
と薫子。
「いやいや、こちらこそ」
「琥原くんが色々ガイドしてくれたんで、今日一日で知識が増えました」
「あぁ、それは……実は俺、上野はともかくとして、鎌倉については行き当たりばったりで出かけてたから場所は分かるけど正式名称が分からないところばかりで……今回ガイドブック丸覚えしたんだよね……お恥ずかしい限りです」
「え?私のために?そんなことまでしてくれて」
「だってカコちゃんに格好いいとこ見せたくて」
「もぅ、何でそんなに優しいんですか!」
「笑顔が見たいからだよ」
「笑顔?」
「楽しんでもらいたいから……さてと、じゃあ今日はここまでって約束だから」
木戸門で祐希が言うと薫子が自分の両手で祐希の両手を掴んで、ぶらぶらさせながら
「そこの坂道までもダメですか?」
祐希の顔を見上げるようにして聞いたが、
「ダメダメ、木戸がガチャって閉まる音がするまで俺が心配で帰れないから」
「シンデレラの話が本当だったから?」
「それは……何で知ってるの?卒業アルバム探してたんじゃないの?」
「階段の上で琥原くんが母に聞かなかったら卒業アルバム探しそうと思ってました……でも聞いてくれたから」
「ごめん。本当に信用してなかった訳じゃないんだよ。でも、何だか……俺に気を遣ってくれたんじゃないかと思っちゃって」
「まあ、でも琥原くんがお話ししてくれなかったら私も話さなかったとは思いますけど……わざわざ話すような事でもないし……」
「いや、でも、これで家まで送ることは間違ってないなって改めて思えたから良かった……」
「琥原くん……」
見つめ合う二人。
その時、薫子が真面目な顔で握っていた両手を祐希から離すと身体の前で合わせて
「心配をしてくれて有難うございます」
お辞儀をしてニコリと笑った。
その姿に
『可愛い過ぎる』と『でもモヤモヤする』と『純粋過ぎる』が入り混じった感情に祐希は
「いやいや、本当にこれからは毎日送るから」
木戸のところで引き戸が閉まるのを見届けてから帰って行った。
「100分の2の青写真」をお読み頂き有難うございます!
さて『五十話』を迎えまして、
これからまだまだ波乱に飛んだ出来事が起きる予感。
皆様のご期待に添えるような展開か?それとも?
何はともあれ薫子と祐希のじれったい恋模様をとくとご覧下さいませ。
これからもどうか温かい目で二人を見守って下さいますよう、宜しくお願いします。
薫子と祐希に感情移入しすぎて、たまに泣いちゃう
優月菜より




