第四十八話 普通のデート?⑰【鎌倉土産②】
本当に間が悪いと祐希は薫子を送る道すがら思う。
日曜日は家族でご飯と聞いていたが、たまたま接待ゴルフで帰りが遅くなる事もあるらしい。
瓦屋根付きの木戸の横についているインターフォンを鳴らすと、しばらくしてガチャリと音がした。
「はーい」
月子が出る。
「ただいま、琥原くんも一緒だよ」
薫子が言うと
「どうぞー」
月子が応えるとガチャッと音がした。
「この木戸、木じゃないんだ?」
「本物っぽいけど、電子ロック付きの扉なんです」
引き戸を開けると祐希は建築学科の学生らしく
「最新の設備だよね?設計課題の図面に書き込むなら、配線計画が大変そう……」
祐希が呟く。
「うわっ、引きたくないですね」
自宅の設備の事など考えてもいなかった薫子は苦々しい顔をした。
屋根付き木戸の先は石畳の階段で八段ほど登ると玄関扉があり、その階段の両脇には植栽、左は二台置きができるカーポートの上に広めの芝生の庭、建屋の周りは背の高い木や低い植栽で囲まれている。
家というより邸宅と言う言葉が相応しい雰囲気。
玄関ドアを開けながら月子が顔を出すと開口一番
「あらー!本当に美男子!」
両手を口に当てながら驚く。
「こんばんは、初めまして琥原祐希と申します」
祐希が挨拶する。
「お堅い挨拶なんてナシナシ、上がって」
月子が祐希にスリッパを出しながら、気を遣わないように明るく接するも祐希はぺこりと頭を下げて
「本日は薫子さんのお父様がご不在と伺いまして、
そんな時にお邪魔するのは失礼かと思いますので、こちらでご挨拶だけとさせて頂きます……あの袋のままで申し訳ありませんが鎌倉のお土産です。お口に合うといいのですが」
紅谷で買ったお菓子の詰め合わせを祐希が月子に差し出すも、すぐには受け取らず、
「あら、まあそんなご丁寧に、美男子な上に気遣いも出来るなんて」
と関心した。
その時薫子は何も言わずに祐希の横をすり抜けて靴を脱いで揃えて置き直すと二階への階段を駆け上がって行ってしまった。
月子はそんな薫子の後ろ姿を目で追いつつも祐希に向かって
「でもそんな気を遣わなくていいのよ、主人がいなくても、お夕飯ぐらい食べて行って」
「いえ、さすがにそれは…やはりお父様にご挨拶させて頂いてからと思います」
再度お菓子の詰め合わせを差し出す。
あまり遠慮するのも申し訳無いと思い、月子は受け取ることにした。
「じゃあ、受け取らせて頂くわね。有難う」
「いえ、気持ちばかりですが……ではこの辺で」
「あら、ちょっと待って、カコ!何してるの?琥原くん帰っちゃうわよ!」
月子が二階の薫子に声をかけた。




