第三十九話 普通のデート?⑧【江ノ島ご飯】
この店の名物はといえば当たり前の様に海鮮料理。
二人は刺身定食を頼んだ。
運ばれて来たのは江ノ島の代名詞とも呼ばれる鯵のたたき、栄螺、烏賊、厚切りの鮪、その日地元の漁港で上がった生シラスといさきが厚手の陶器の平皿に、たっぷりの大根のツマと大葉、そして少し多めのワサビが添えられている。
ご飯はどんぶりにおてんこ盛り、わかめの味噌汁、お新香、そして時には酢の物の小鉢が添えられて見ただけで食欲がそそられる。
早速、二人は「いただきます」と声が合った事がおかしくて、ちょっと笑った。
祐希は迷わず、まずは味噌汁に手をつける。
熱々の味噌汁は出汁が効いていて、その香りだけでも美味しさが分かるほどだ。
祐希はご飯を掻っ込むと刺身にも手を伸ばすも、
薫子は出された料理を見つめて、どうしようかと悩んでる様子に気づいた。
祐希が声を掛ける
「何から食べるか悩んでんの?」
「……あの」
「分かった!ご飯多いんでしょ?」
「はい……先にお店の方にお願いすれば良かった」
「でも、こんなに沢山盛ってくれるって思わなかったもんなぁ、じゃ食べきれそうにない分ここに乗せて」
薫子が悩んでんいる間にすでにおてんこ盛りだったご飯は少し平らになっていた。
「いいんですか?」
「いいよ、カコちゃんのお箸貸して」
と言って祐希は薫子のどんぶりから半分くらい自分のどんぶりに移して、
「このくらいなら行けそう?」
どんぶりを返すと薫子が嬉しいそうに頷いた。




