第二十七話 カッコよすぎる彼⑨
そして笑う度に顔に触れる薫子の柔らかい髪に祐希は胸が熱くなっていた。
『あんな嫌味言われたのに、それには触れずに』
「外国人の方って日本人は幼く見えちゃうみたいですね。さっきレオさんも琥原くん犯罪者って」
『あ!そんなこと言ってやがった。レオさんめ!』
「さっきニコちゃんとは、ちっこいもん同士気も合っちゃったし……」
薫子は楽しそうに前を見たまま祐希に言った。
「聞こえてた?」
「はい」
「それは可愛いくてという意味での発言でした……それに俺は、そのちっこい子のことが大好きなんで許して下さい」
薫子の耳元で囁く。
「分かってます……」
頷く薫子に祐希はこのまま抱きしめたい衝動を抑えるのがやっとだった。
「スケッチ描けた?」
祐希は一呼吸置いて尋ねると、薫子が恐る恐る抱き抱えていたスケッチブックを前に出す。
「お、本格的なデッサンに近いね」
感心する祐希。
「でも建築学科の学生じゃないですよね」
悲しそうな薫子。
「じゃ、パース風に仕上げると、どうかってことなんだけど……一枚めくってもいい?」
スケッチブックを薫子の後ろから祐希が手を伸ばしてめくろうとした時、あまりの近さに慌てた彼女。
「やります!」
薫子がめくると、左利きのはずの祐希が鉛筆を持っている薫子の右手を自分の右手で軽く持つ、
「鉛筆の持ち方は色々だけど、俺はこうね」
親指と人差し指だけでつまむ感じだ。
「まずはアイレベル……自分の目の高さが建物のどこに位置するかを把握して、薄く水平線を引く……
次に消失点の特定、建物の横のラインがどこに向かって収束していくかを見つける。基本はニ点透視図法を意識するよ。立体感が出やすくなる」
画用紙に線を描き入れて行く。




