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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第二十三話 カッコよすぎる彼⑤


追いかけて来たのはレオの妻の桜だった。


レオからの連絡で店に行くも、間に合わなかった桜が祐希の彼女にぜひ会いたいからと追いかけて来てくれたのだ。


薫子は、祐希に自分も子供も助けられた話でまず桜から挨拶され赤ちゃんの散歩に行くからと、お互い話しながら歩き始めた。


祐希もさすがにこの人数では、薫子と手を繋いだままは歩道では無理だと観念し手を離した。

だが薫子は薫子で(ニコ)ちゃんに釘付けだ。


祐希がその(さま)を見て心配そうに声を掛ける

「カコちゃん前見て危ないから」

桜が笑いながら

「あらあら、女の子にかなりのツン対応の固形炭酸王子(ドライアイスプリンス)が発してる言葉とは思えないわぁ」

「それ、いい加減もう忘れて下さいよ……冗談で話しただけなのに」

祐希は言った。


「ドライアイスプリンス?」

薫子が聞き返すと

「カコちゃん、見て、東京文化会館だよ」

話題をそらすように祐希が指差すと

「あ……四歳の時、最初に見たところです」

薫子が答える。


その時までベビーカーで静かにしていた虹子(ニコ)が急に騒ぎ出した。


上野公園の中の歩道の脇にベビーカーを寄せると桜は虹子を抱き上げた。


それを見ていた薫子はふんわり優しいミルクの香りに気持ちを持って行かれてしまう。


『可愛い』今、目の前に待望の建物が前後にあるにも関わらず虹子に相変わらず釘付けだ。

虹子も薫子をすごく気にしてる。


桜は驚いた様に

「ちょっと前までレオにも人見知りしてたんだけど、もしかしてまさかだけど薫子ちゃんには大丈夫なのかしら?」

と言うと虹子は言葉が分かるように、薫子に向かって手を伸ばし始めた。

「抱っこしてみる?」

と桜。


「え?いいんですか?でも私、手とか洗わないと」

薫子が持ち前の几帳面さを出す。


「え?いいよ!うちは散歩から家に帰ったら、すぐお風呂だから心配しなくて大丈夫」


「でも……あ、ちょっと待って下さいね。琥原くん、これをお願いします!ニコちゃんがお口に入れたら大変だからペンダントと外して預かってて下さい」

「あぁ、はい」


祐希がペンダントを外すと、薫子は自分が掛けていたポシェットを祐希の首に背伸びしてかけると、顔が近づいて真っ赤になる祐希を無視して、ポシェットの中から除菌シートを出して手を拭き上げて、使ったシートをポケットに押し込むと桜に向かって

「お待たせしました」

とお辞儀した。


桜は唖然としながら、祐希に向かい

「いつもこんなに几帳面なの?」

「うん、だいたい…で、なんかこんな真面目過ぎなところも可愛いだよね」

照れ笑いする祐希。


「日本の母の代表みたいだわ。赤ちゃん本の赤ちゃんの扱い方読んだことあるみたい」

するとまた薫子は真面目な顔で

「それはないんですけど……母が赤ちゃんを育ててるお母さんは赤ちゃんを大事にしてるから、どうぞって言われない時は触ったら駄目だし、手は綺麗じゃないとって、いつも言われてまして……すみません」


出過ぎた真似だったかとモジモジしてると、祐希がフォローする様に

「カコちゃんも早産で生まれて大変だったみたいで、赤ちゃんの頃からご両親に大事に大事に育てられたみたいなんだよね」

と桜に返した。


「そうだったの。まあ今より医療もまだまだで大変だったからね。そかそか、でもびっくりしたわ」

「ごめんなさい。ニコちゃんが可愛くて、どうしても抱っこさせて頂きたいけど……でも何かあったらと思ったら……」

薫子が言うや否や、虹子の方から飛びついて来て、すっぽり薫子の腕の中に収まると、顔を見ながら何か言っている。


少し離れたところにいる祐希のところに桜はさりげなく移動して話しかける。


「最近おしゃべり多くなって何言ってるかは分からないんだけどね。レオは勝手にパパ好き好きって言ってるよーって騒いでるけど……可愛くて真面目でしっかり者の薫子ちゃんには何話してるのかしらね」


桜が楽しそうに言うと祐希が優しい眼差しで

「可愛いちっこい者同士の話じゃない?」

「ちっこい者同士って」

笑う桜。


「ニコちゃんが羨ましい……」

祐希の呟きを桜は聞き逃さず

「羨ましいって言った?おいおい赤ちゃんにヤキモチ?付き合って、もうニヶ月とか経つんじゃないの?それなりにほらハグくらいは……」

「いや、知り合って八日目で、付き合って一日と半日目、俺はもう抱っこしたいくらいだけど彼女は手繋ぎが本当にやっとで……ニコちゃん、いいなぁ」

祐希がしれっと言う。


「それじゃ、やっぱり大学行かない時期あったんだ…… でも固形炭酸王子(ドライアイスプリンス)かたなし!もうメロメロじゃん!」


桜が嬉しそうに呟いた。


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