第十八話 初デート!!
翌朝『服が決まらなくて遅くなっちゃった!!』
PARKO前を人を避けながら早足で急ぐ。
時計を見ると九時五十八分、だがもう既に31の近くに祐希の姿が見えた。通りすがりの女性は必ず二度見して行く。
彼氏連れと思われる女性もだ。何人か連れの女子学生と思われる子達は頬を赤らめながらヒソヒソ話をして通り過ぎて行く。
元々蜂蜜色の髪色だけでも目を引くのに、今日は黒のキャップに真っ白なフード付きのトレーナー、黒っぽいジーパンに黒のコンバース、極め付けはウエストポーチを肩から斜め掛けし、しっかり昨日購入した女王冠のペンダントもつけている。
ただロンロンのガラスの壁に片脚だけ曲げて寄りかかって立っているだけなのに『かっこいいもんね…』誰もが振り向いてしまうのは仕方がないが薫子は自分があの人のところに向かっていいものかと一瞬躊躇して、足が止まってしまった。
俯いていた祐希がふいに視線を上げると薫子に向かって手を振る。
近場にいた女子全員の視線も感じた薫子だったが、祐希は待てずに薫子に向かって歩き始め薫子も同時に歩みを進めた。
「おはようカコちゃん」
『今日も無茶苦茶可愛い!ちゃんと苺もつけてくれてピンクのフード付きトレーナーにジーンズのスカート、足細っ!足元白コンバース♪やったお揃い』と祐希の頭の中を薫子の服装が駆け巡り、肩から掛けてるキャンパスバッグにも目が行く。
「おはようございます」
薫子は頭をちょこんと下げると、祐希が手持ち無沙汰にしてそうだったので
「お待たせしちゃいましたよね?」
と聞くと
「今来たところだよ!本当カコちゃんは心配し過ぎ……って言うか、寝ちゃって起きたら夢だったってなるのが怖くて眠れくて、でもいつの間にか寝ちゃったけど夢じゃなくて良かった」
と言いながらか薫子の肩から嬉しそうに笑いながらキャンパスバッグを取り上げて右手を差し出された。
「え?荷物?なんで?」
薫子がたじろぐ『まさかの手繋ぎ?』
「二人きりの時は甘えて……で安心させて」
顔を覗き込む祐希に
「もう手を繋ぐ?」
『死んじゃいそう』と薫子は思うも、また耳をピンと立てて尻尾をブンブン振り回す大型犬が見え
「うん!」
すかさず返事をされた。
「でも私、切符も買わないと…」
「もう買ったよ、今日は中央線に乗るからさ、自分の分も買わなきゃいけなかったし、でも自動改札機だし、そこだけは手を離さなきゃだけど…」
尚も右手を引っ込めない。こんなところで時間を無駄にできない!早く上野に行きたい気持ちが勝った薫子は左手で素早く手を取ると
「早く電車に乗りましょう!」
と言うや否や国鉄の改札口に向かった。
「日曜日なのに意外と電車空いてるね」
立っている人もいるが、どの車両もだいたいは座れている状況の模様。
「連休後の日曜日だから、お出かけ控えかもしれませんね」
冷静に答える薫子。
何故かというと、昨日とほぼ同じ状況で、また端席に座らされ薫子と祐希の間あたりに上向きされた薫子の手に祐希の手が乗っている。
『これ…ドキドキしっぱなしなんだけど琥原くんは大丈夫なのかな?』とチラッと祐希の様子を伺うとずっと薫子の横顔を見ていたのか、目が合うと嬉しそうにニコリと笑い、
「やっとこっち見てくれた」
と言った。
「今日、ちょっと早いけど先にランチしちゃわないかな?」
祐希が言うと薫子がすかさず
「私もそう思ってました、建物見てる途中でご飯はないですよね」
と真顔で言う。
「やっぱりそうだよね…ごめん今頃だけど、このバッグって中はスケッチブック?画材も入ってる?」
「はい、気になるところだけですけど……少し立ち止まってもいいですか?」
「もちろん、だって俺も持って来てるもん」
「え?どこに」
「俺、急に思いつきでどっかに行きたくなっちゃうと我慢できないんだよね、それでいつもフラッと出かける時、一番小さいスケッチブックと鉛筆だけはここに入ってる」
バッグを指差す。
「そんな小さいバッグに…」
身軽さも一つの歩きやすさの定義かもと思う薫子だった。




