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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第百七十三話 Christmasのつもりの夜は更に更けて


「夢かと思った」


嬉しそうに笑いながら薫子は起き上がると

「じゃ、私もお風呂入って来ようっと。ピーちゃんは今日、祐くんと寝たいみたいなんだけど。いいかな?」


ピーちゃんは眠そうながらもウルウルした()で祐希を見つめている。

「え?ピーちゃん、僕と一緒でいいの?」


何だかピーちゃんが照れくさそうに

「グウ」

と、祐希に返事した。


その後、お風呂に向かった薫子に、祐希は、もう少しだけ話しがしたいからと戻って来てくれる様に頼んだ。


そして……。


「祐くん?起きてる?お待たせ」


「カコちゃん、ごめんね。疲れてるのに」

「ううん。さっき、ちょっと寝たから私は大丈夫だけど……祐くんこそ眠たいんじゃない?」


祐希が少しスチール製雨戸を開けたのか、その窓の前で外を見ながら毛布を掛けて座っている祐希の側に歩み寄る。


パジャマにカーディガンを羽織って、毛糸の靴下を履いている薫子からは、優しい石鹸(せっけん)の香りがした。


「雪見障子※なんだね」

「うん」

「寒いからWhite(ホワイト)Christmas(クリスマス)になるかと思った」

「二十六日頃、降るかもって天気予報では言ってたよ」

「そうなんだ」


祐希が薫子に言う。

「こっち来ない?」

毛布を開けて自分の前を示した。


「えっと……」

(あった)かいよ」


薫子は上野公園の時の事を思い出していた。

あの時、祐希には背もたれと勘違いをしたと話したが、実は子供の頃の父との思い出が重なり合っていた。

父はよく薫子を|胡座のかいた上に乗せて、新聞を広げ4コママンガを読み上げてくれた。

その安心感をその時の祐希に感じてしまったのだ。


今日は祐希の方が後ろから、既に薫子を抱きこむ為に腕を開き、膝を立てて広げて薫子の座るスペースを作っている。

今日は気をつけようと思った薫子。


「お邪魔します」

祐希の前に入り込むと

薫子はこの前と同じ様に体育座りをした。


「あのね……兄さん達が英国(イギリス)に立った後、中井さんって人から電話貰ったんだ」

祐希は薫子の頬に自分の顔を寄せながら囁く。


「中井さん?」

「うん、大学時代からの友達。それと、ビックリなんだけど、あの苺王冠(ストロベリークラウン)の店のオーナーさんだった」

「えっ?!……ごめん大きな声出して……」

「びっくりしたよね?」

「うん」


「それで謝られた」

「何で?」

「それが……僕らが店から帰る時、中井さんは別の自分が経営してる店から僕達の事、見かけたらしくて……その日たまたま大学の同期会があって事前に会う約束でバーで待ち合わせした時、兄さんにその話をしたんだって」

「私達の話を直希さんに?」

祐希の微妙な雰囲気に気づき薫子は慌てて

「お兄さんに話したの?その私達のこと」

言い直した。


「兄さんが僕のこと"溺愛"してるって周りに言ってたけど、それは兄さんが僕のことを周囲の人から守る為にわざと言ってた優しさだったと僕は思うんだけど……」


『本当に溺愛してだと思うけど……』

薫子はそう思いながら祐希の話を聞く。


「中井さんは、兄さんから英国(イギリス)に立つ前に連絡貰ったらしくて、ことの顛末を知って悪かったなって謝りの電話をくれたんだ」

「中井さんって言う方が、私達のことお兄さんに話したのが事の発端ってこと?」


「でも、同じ大学にいるんだから、いずれ兄の耳にいつ入ってもおかしくはなかったのでって話したら、おい、ツツミお前の()う通りやって」

「ツツミさん?」

「ツツミさんとその中井さんって人、結婚したんだって」


「だから()うたでしょ、あの子()は天使なんやって聞こえて……ツツミさんに電話替わって」


===


「ほんま、ごめんなさい。中井から祐希くんのお兄さんは弟さんを溺愛してるって聞いたから、ほんま話すのやめる様に()うたんやけど……」

「いえいえ、本当にいつ分かるかなんて時間の問題でしたから」


「それでも……早すぎたよね」

「遅かれ早かれ問題はいつか起きたはずなんで、気にしないで下さい」

「もうほんまに、ええ子や!あっそうだ!もし良かったら……」


===


「カコちゃん、ちょっと立って貰ってもいい?」

「え?今?」

「うん」


立ち上がった薫子の前で騎士(ナイト)の様にひざまずく祐希。

そして左手を差し出して薫子の左手を取る。


「今日、お父さんに、大学を卒業して実務経験を積んだ後、必ず一級建築士になるので、その(あかつき)には薫子さんと結婚させて下さいってお願いした……」

「え?そうなの?」


薫子は頬を紅らめた。


「そしたら、お父さんが、そんな先?もううちの子になっちゃえばいいじゃん。家族になろうよって言ってくれて……」


「あ、それで……」

「嬉しくて……胸が熱くて」

「それで泣いちゃったの?」

「うん」


今もまた祐希は泣きそうな顔をしてる。

それでも


「こんな泣き虫で我慢が足りなくてヤキモチ焼きで……でも薫子さんのことを愛してる事は誰にも負けません。僕との結婚を約束をして下さい」


「ん?」


薫子は『プロポーズかと思ったのに?違う?』答えに困った。


「えーと」


「まずは、婚約して下さいって言えばいいんじゃないの?」


笑いながら誰かの声がした。



※庭の景色"特に雪景色"を眺められるように工夫された障子のこと。


カウントダウン開始!


あと残すところ五話となりました♪

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