第百六十九話 ハワイのお土産話①
一瞬、間違えて終話間近のエピソードを投稿しちゃいました!!
順番投稿致しましたのでご安心くださいm(_ _)m
「どのお料理もすごく美味しいです!」
「ハンサムは食べっぷりもいい!」
月子が笑う。
何気ない会話を交わしながらも"家族で一緒にご飯の会"が思いの外、楽しかったのか、本来は人見知りのはずの祐希が薫子と二人の時と同じくらい、よく喋り、同じくらい遠慮なく月子の料理を食べている。
自宅で"子供も大人も楽しめるパーティー料理"などのお料理を教えることもあるため、テーブルは三人家族なのに八人用だ。
広々としたテーブルには実はクリスマス料理の数々が並び、真ん中には七面鳥も鎮座している。
毎年、十二月中盤から豊の仕事は、通常国会に法律案を提出するので猛烈に忙しくなる為、三枝家のクリスマスは月子の誕生日かその前後の日曜日と決まっていた。
そんな事にも薫子は"銀行が忙しいから"の一言で、いつも、すっかり騙されていた。
豊もそろそろ職務内容を薫子に明かそうとは思いつつもきっかけを失って実はまだ騙したままでもあった。
食事を囲むテーブルには、祐希が月子にプレゼントした薔薇も、その食卓に文字通り華を添えている。
豊も"寝酒に"といいながら、自分の席の真横に大事そうに祐希からのレミーマルタンが置いてあった。
隣の席に座る祐希に
「そう言えば、さっきハワイ土産って、この子のこと言ってたけど、君、未成年だよね?どうやって購入したの?」
レミーマルタンXOの瓶を撫でながら話しかけた。
「ホテルではフロント業務をしていて、八月の半ばくらいに、たまたまツアーのお客様の中で単独行動をされたい五十代半ばくらいのご夫婦連れがいらしたんですが」
その夫婦のご主人の方がツアーデスクで、こんな事をしたいリストを見せ、英語でペラペラと捲し立てるも、どう回れば最短時間で回れるか?など尋ねられ担当者が返答に苦慮していた。
その日は休みだったはずの祐希が忘れ物を取りにフロントに寄った時に、それを見過ごすことが出来なかったと言うのが事の始まり。
本当ならスケッチに行くはずの祐希はガイドさながら、その夫婦のやりたい事リストに付き合う事にしたのだ。
そして夫婦とホテルに戻って別れる時、こんなやりとりが……
「今日は本当に有難う!とても楽しかったよ。でも悪かったね、君の貴重な休みを使わせて貰って」
「あ、いえ。困った時はお互い様ですから」
「本当に何ていい子なんでしょう。日本に帰ったら、何かお礼をさせて貰いたいわ」
「とんでもないです!お昼も夕飯までご馳走になりました。それだけでもう充分過ぎです」
「バーガーキングでワッパーとルートビアのお昼に、えぞ菊の味噌ラーメンで?」
「初めてワッパーも頂きましたし、そろそろこっちの肉料理に飽きてたんで味噌ラーメンも嬉しかったです。有難うございました」
「本当に欲のない子だな、君は。何か欲しいものはないのかな?ご家族にお土産とか?もし良かったら買わせてくれないか?」
「いえいえ、もうそのお言葉だけで!では、あと数日かとは思いますがハワイをご堪能下さい。失礼します」
その夫婦とはホテルの前で別れたのだったが、
その縁はまだ続いていたのだ。
「どこかで聞いた様な話だね」
薫子が呟く。
「まさかハワイから戻った時に成田空港で、その人と再会した?」
豊が聞くと祐希が
「え?何でご存知なんですか?」
「怖い怖い」
「縁が繋がり過ぎ……」
「まさかだけど……」
三枝家三人がボソボソと話し続けている時、ピーちゃんがはっきりしろ!と言う様に
「ワン!ワン!ワン!」
珍しく犬の様に吠えた。
豊が恐る恐る祐希に尋ねた。
「そのご夫婦って佐野さんって言うんじゃない?」
「え?どうして?まさかお知り合いですか?!」
「そのまさかなんだよな」
今度は祐希が驚く番だった。




