第百六十五話 やっぱり見送り
いつもご覧下さり有難うございます!!
お昼時に失礼します。
しかしながらどうしても皆様にお伝えしたいことがありまして前書きを書かせ頂きました。
今朝方、驚くべき事象が!
午前四時の一時間内だけで、この拙い物語(第164話投稿後)が200PVを超え、久々の日間ランキングに入らせて頂きました。
そんな朝早くから沢山のエピソードを楽しんで頂いたとは感無量です(T ^ T)
薫子と祐希が切ない想いを経て、また想いを寄せられるようになったお話も、そろそろ終盤を迎えます。
いつもたくさんの方々に応援を頂いて本当に励みになります!
取り急ぎお礼ご報告致したく……
有難うございます♪
これからもどうか宜しくお願い申し上げます。
優月菜
「免許証か学生証持ってきた?」
あまりにも何やかんやと言ってくる薫子に根負けして祐希は直希達を二人で見送りに行くことにした。
吉祥寺まで迎えに行くと言い張る祐希を解き伏せて、時間の無駄だからと新宿で待ち合わせる。
薫子の会ってすぐの確認は、飛行機に乗るわけでもないのに空港に入るまで検問があり、見送りにすら本人確認が必要だからだ。
上野まで山手線で移動したら京成上野駅からスカイライナーに乗る。
成田空港駅まで一時間。
駅でも警察官による検問を経て、そこから更に有料バスで十五分ほどで、ようやく本当の成田空港の出発ロビーに到着。
「南ウィング、JALの第三サテライトだよね?」
「うん、三十三番ゲート」
思いの外、検問で待たされ、搭乗口に入り始める時間が近づいていた。
「あ!あそこ」
毛皮のコートを身に纏った裕子の姿が見え
横に立っていた直希が先に祐希達に気づいた。
「祐希、薫子さん。まさか見送りに来てくれるとは思わなかった。寒い中わざわざ有難う」
祐希は少し離れたところで立ち止まる。
そこで薫子だけは近寄って挨拶を交わすと
「いえ、そんな……あの、どのくらい英国に滞在される予定なんですか?」
と聞く。
直希はえっ?という顔をしたが、
「ケンブリッジ大に今度は講師として世話になることになっているんだが任期は三年だから」
「そんなに長く……」
薫子は祐希は知っていたはずなのに、見送りもしないつもりでいた事に少し憤りを感じていた。
「琥原くん、私に何も教えてくれないんです」
「そうか……僕らは許されてないって事だね。まあ日本の不動産はあらかた処分したから、祐希に迷惑かけることもなく心置きなく旅立てるだけマシかな。鎌倉の家だけは祐希が母に譲渡してくれたから、日本に戻って来たら使わせて貰おうと思ってはいるんだが」
「裕子さんに譲渡……」
「あぁ、ごめん。君にとってはいい思い出はなかったね。でも母にとっては、やはり稲垣光希と家族で過ごした最後の場所だから」
「それでしたら、お願いがあります」
「何?」
「お戻りになる前に、光希先生の書斎は先生の想いの詰まったところではあるとは思いますが、裕子さんのお部屋に戻してあげて頂けますか?」
「え?」
「多分あの場所は光希先生の琥原くんの亡くなったお母様との対話の場所だった気がするんです。それを裕子さんは肌で感じ取ってた気がします」
「あぁ、そうか。そうかもしれないね……分かった、そうしよう。気がつかせてくれて有難う。本当に君って人は……」
直希はその後何を言おうとしたのかは分からない。
それまで少し離れていた裕子が薫子に近づいて来たのを見て祐希が近寄って薫子の腕を引いた。
「薫子さん、ごめんなさいね。私のせいで怖い思いをさせて」
「いえ、こちらこそ……すみませんでした」
「祐希にも本当に辛い思いをさせてごめんなさい」
裕子はどうやら今度こそ少し落ちついた様で祐希にも頭を下げた。
が、祐希は反応しなかった。
搭乗手続きが始まる様だ。
「祐希、薫子さんお元気で。そろそろ行くよ」
直希が裕子の背中に手を当てて歩き出す。
薫子は
「お気をつけて行ってらして下さい」
と頭を下げた。
その前に祐希は既に来た方向に向かって歩き始めていた。
急いで追いついて祐希の右手に自分の手を絡ませながら薫子は聞く。
「何か話しておかなくて本当にいいの?」
返事がない。
「何年も会えないかもしれないんだよね?……本当は言いたいことあるよね?」
「祐くん、私は平気。祐くんがいてくれたら何もいらないし、何とも思わない。祐くんが思ってることを話して来ていいんだよ」
見上げる薫子の顔を見て祐希が聞く。
「……本当に?」
「本当だよ!だって私は祐くんが一番大切な人で、大好きな人。それは何があっても変わらないから」
「ちょっと、ここで待ってて」
祐希は搭乗口に向かって走り出した。




