第百五十九話 公園のお砂場③
「毎週水曜日が楽しみだった」
「俺も」
「じゃ、どうして急に来なくなったの?」
祐希はそれも思い出していた。
「それは……その前に何故、俺が砂場に行く様になったのか話させて」
「うん」
「帰りの園バスの中から、砂場で何か作ってるカコちゃんが気になって。どうしても何を作ってるのか見たかった」
「何を作ってるのかが気になってた?」
「無心に何か作ってる子のことの方が気になったって言うか……話してみたかった。あの頃、女の子に対しての恐怖心みたいなのを感じ初めてたから、どうしてあの子とは話してみたいのかな?って不思議な気持ちになってた」
「やっぱり幼稚園の頃からモテモテで大変だったんだね」
薫子は真面目な顔をして返す。
祐希はちょっとムッとしながら
「カコちゃんはさ、ヤキモチとか妬いてくれないわけ?」
「え?過去の琥原くんにヤキモチ?」
正論で返された祐希はモヤモヤしながらも後を続けた。
「毎週水曜日はサッカーで少しだけ練習が始まる時間の前に余裕があったんだけど、それ以外の日は他の習い事で裕子さんが幼稚園まで車で迎えに来てた」
「だから水曜日にしか来られなかったんだ?」
「うん、そう。裕子さんも稲垣の子供って扱ってくれてたから情操教育ってヤツに力入ってて、ピアノが週二回、バイオリンが一回、スイミングが一回」
「毎日……何かしらあったんだね」
「思えば初めてのワガママだったからか、サッカーの前の砂場は許してくれた」
「そういえば、いつも"サッカーのお時間よ"ってお迎えに来てくれてたよね」
「園バスは公園を通り過ぎてから自宅の前で降ろしてくれて、降りる前から帽子と園服脱いで、幼稚園バッグも取って、放り投げるみたいに裕子さんに預けて、いつも砂場に走って行ってた」
「うちの母ともお話しして裕子さん待っててくれたこともあったね」
「え?そう?」
「朧げだけど、裕子さんがうちの母に
"こんな歳になってから親戚の子供を預かることになったけど、育児って楽しい"みたいなこと話してた気がする……今にしてみたら親戚のってところは引っかかるけど本当に楽しそうだった」
「裕子さんがそんな事……」
「それで、どうして来なくなったの?裕子にやっぱりダメって言われたの?」
薫子は話を元に戻した。
「今はっきり思い出した。夏が来て暑い日だったけど、いつも通り、オマセな木元達に冷やかされながら公園の前を通り過ぎる時、砂場でカコちゃんと兄さんが楽しそうにお城を造っているのが見えたんだ」
「え?私と直希さんが?一緒にお城を造ってた?」
いつもご覧頂き有難うございます!
いよいよ薫子と祐希に笑顔が戻り、物語は終盤を迎えます。
この後、まだ少し「あらまあ!」というエピソードをご用意してありますので、どうかお楽しみに!!
優月菜




