第百五十八話 公園のお砂場②
「あの時、ワタシお城を作ってた」
薫子は思い出した。
『そう砂のお城が私の原点』
「私は毎日、幼稚園の帰りに公園のお砂場でお城を作ってた。毎週水曜日だけ、途中から男の子が一緒に遊んでくれる様になって……」
砂場でお城作りをしている薫子に、髪の毛がクルクルの同じ年くらいの可愛い男の子が声をかけて来た。
「お城作ってんの?」
「うん
「お城の周りには城壁がないと、お城を悪い人に取られちゃうんだよ」
「え?ジョウヘキ?って何?」
「城壁はお城の周りの塀だよ。敵の侵入を防ぐんだ!」
「そうなんだ。テキ?知らなかった」
「ボク、作ってあげよっか?」
「いいの?」
「いいよ」
「ありがとう」
キレイに固めた泥団子を作る男の子。
「ボクは祐くん。君はなんて名前?」
「ワタシ、薫子」
「カオリュコ?」
「カオルコ!」
「カオ?」
「カコでいいよ」
「カコ?カーコ?カラスのカーコ?」
薫子は口をきかなかった。
しばらくして祐希は悪かったと思ったのか薫子に言う。
「ごめんね。カコちゃんって呼んでいい?」
薫子はとびっきりの笑顔で頷いた。
その時、祐希は呟く。
「カコちゃん、かわいいね」
「ありがとう」
薫子のお礼にドギマギしながらも祐希は"城壁造り"に勤しんでいると、遠くから祐希を呼ぶ声がした。
「祐くん!お時間よ。お着替えもあるから戻ってちょうだい」
薫子が祐希に聞く。
「お母さん?」
「……うん」
「キレイな人だね」
「そうかな?」
「私のお母さんは、あそこのベンチにいる人」
薫子が指差す方向を見た祐希と母月子は目が合うと、彼女はニッコリして祐希に手を振った。
「カコちゃんのお母さんの方がかわいい」
「え?そうかなぁ、ふふ、ありがとう」
「何で自分のことでもないのに、ありがとうって言うの?」
「え?お母さんを褒められたんだもん。嬉しいからに決まってるよ」
「そうなんだ……へぇ」
「祐くん」
裕子が近くまで、やって来ていた。
そして
「お嬢ちゃん、今日はこれから祐くんは行くところがあるから、ごめんなさいね。また遊んであげてね」
薫子に声掛けてをし祐希に帰りを促しながら、月子に向かって頭を軽く下げた。
月子も軽く頭を下げて挨拶を返す。
裕子は一言
「失礼します」
と言うと祐希を連れて帰って行った。




