第百五十六話 重要機密事項!?
お姫様抱っこしながら祐希が真面目な顔で呟いた。
「これ取っておきたい」
「え!?」
「だって"二人とも初めて“の重要機密事項なんだよ」
「……変だよ!!」
「え!?」
「今すぐにでも洗いたい!」
祐希の腕の中でジタバタする薫子を下ろそうとしない。
「カコちゃん、痩せすぎ……ずっとこのままで何時間でも立ってられそうなくらい軽い」
「そんなことないもん!……んっ」
「何?どうしたの?」
「身体中……痛い」
「え?」
「筋肉痛にみたいに……あちこち……」
祐希は薫子をベッドに優しく横たえて、その横に添い寝の様に自分も横たわると背中に手を回して身体を撫で始めた。
薫子にとっての"初めて"が身体の至る所に痛みを残していた。
目が覚めたら祐希が側にいなかったことで、そのいっときは不安の方が勝り痛みを感じなかったらしい。
祐希の優しく撫でてくれる手に安心した薫子は、うとうとしそうになっていた。
その時、部屋の中の二箇所で電話が鳴った。
祐希は慌てて飛び起きると、一つはキッチン、もう一つは程近いベッドサイドテーブルの上の電話。
そちらの受話器を取る。
「あ、はい。繋いで下さい……お電話代わりました琥原です。……はい、ご連絡もせずにすみません。はい、どしゃ降りで服が……え?……あ……はい……あの薫子さんには?え?いいんですか?……はい、え?……えーと……はい!分かってます!
はい、では……はい、失礼します」
薫子が眠そうな顔で祐希を見てる。
「カコちゃんのお父さんからだった」
「え?パパから?」
薫子は飛び起きるも、また「いたたた……」とパタリと倒れた。
気づけば午後六時過ぎ。
自宅に連絡する事も忘れるような、今までの時間を取り戻す様に過ごしていた二人。
どうやら、治療を終えた直希から三枝家に鎌倉の家での一連の話の電話があり、局地的な大雨になっていて新宿の祐希の部屋で雨宿りでもしているのでは?という話になり連絡先を聞いたらしい。
豊からの電話だったが、月子も二人の再会には好意的で、この後どうするか?的な話になるも、もう新宿は雨も上がり月明かりが見えているにも関わらず、
「こっちは今、どしゃ降りだし!電車で帰ってくるのも疲れるんじゃないかって、それに色々あったんだから積もる話もあるでしょ?って話に月ちゃんとなってね。あっ、薫子には電話替わらなくていいから」
「そのホテルに一応薫子の部屋を一室取ったけど……まあ使うか使わないかは君達次第で!」
笑いながら言う豊に後ろから月子が
「それ父親が言う事なの!?」
と怒り笑い。
それでも最後に豊が
「でも今度、薫子を泣かしたら許さないからね!!
じゃ、またね。おやすみ」
勝手に締め括って電話が切れた。
「という話だったんだけど……」
「すっかりパパ達のこと忘れてた……」
「後ろでピーちゃんが遠吠えしてたよ」
「喜んでる時、遠吠えするの」
まだまだお互い知らない機密事項がありそうだ。




