第百二十三話 直希との密会?
土曜日の夕方の六本木。
薫子と直希は小洒落たリストランテで食事をしている。
薫子はあの日から一ヶ月を過ぎようとしたところで今日は三回目の"意見交換会"。
ペンダントを返す気のない直希対してイライラするも、建築に関わる話題にされると知識欲の方か勝ってしまう自分にも腹立たしかった。
それでも誘われると出かけてしまう。
「来週は日曜日に昼間外出しないか?」
「え?」
「日曜日しか君が身体を休められないと思って土曜の午後にしか連れ出せなかったが、今月は文化の日で月曜日が休みだし、どうかな?と思って」
「どちらに行くんですか?」
「君の行きたいところはないの?」
「……ホァンホァンに会いたいです」
「上野のパンダに会いたい?」
「はい、一人で寂しそうみたいなので」
「あぁ、会いたいって言う言い方が本当に薫子さんらしいね……よし行こう」
土曜の夕方、仕事帰りの直希は、背広がテッパンで、どんなに着崩してもシャツにブレザー姿しか見たことが無かった。
普段はどんな服を着てるんだろう?とちょっと気になる薫子だった。
そんな余裕な気持ちになったのは、夕ご飯と言うより夕食を嗜んだ後は、まっすぐ自宅近くまで愛車で送ってくれるだけだったからだ。
たまにからかう様に
「そろそろ、ご褒美にキスくらいさせてくれてもいいんじゃない?」
とは言うものの直希は決して何か強いることはしなかった。




