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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第百二十二話  声の主


一番驚いたのは薫子だ。


『でも……違う』

振り向かなくても分かる。


元男子校生達がざわつく。

「やべぇ……あいつ※Trigger(トリガー)-happy(ハッピー)じゃん!」

「逃げようぜ」

「残念だけど、またね!」

口々に何か言いながら逃げて行ってしまった。


薫子は振り向くと声の主に声をを掛けた。

「有難う、木元さん」

「一人で何してんの?危ないじゃん」

「ロットリング見に来たら……そう言えば、あのTrigger(トリガー)-happy(ハッピー)って?」

「知らなくていいの」

木元が照れくさそうに言う。


「あいつらの男子校とは何かとすぐ絡んでくるからさ、しょっちゅう俺らケンカしてたんだよーん」

「その時の俺らの呼び名だよーん」

香山と草壁が木元の後ろから顔を出した。


大学に戻る道々

「と、言うと四人組の皆さんはケンカっ早いので有名だったってこと?」

「いやまだメンツは他にもいるけど……まあカコちゃんの"疾走のシンデレラ"伝説には負けるけど強くて有名だったんだぜ!」

香山がガッハッハと笑う。


「てか、祐希がメチャクチャ強かったんだかんな」

草壁が訂正をいれたが、『あっ』となる。


「私シンデレラじゃないのに勘違いされて迷惑なんだけどな」

気が付かないフリで薫子が明るく言うと木元が

「俺ら実はシンデレラ見に行ったことあんのよ」

「え?」


「ものすごーく有名な話だったから、俺らと番張ってた男子校の奴らを軒並みシャットアウトしてるシンデレラって本当にマブイのか?って」

「マブイ?」

「あ、可愛いってことね」

「はあ、そうなの」

薫子はため息をつく。


「カコちゃんって高校時代、あんなクルックルの髪の毛だったのな!」

「じゃ、もしかして入学した時から気づいてた?」

「祐希以外ね」

「え?」


「あいつ女子に興味ねぇって行かなかったからさ」

「そうだったんだ……じゃ、もしかして他の皆さんの中にも知らないふりしてくれてる人いたりするのかな?」

草壁がしれっと

「外部はともかく内進は皆んな知ってるはず」

と言った。


『うわー、髪の毛切ろう!少し伸ばし過ぎたとは思ってだんだよね』と薫子は思いながら


「疾走のシンデレラの言われの元になった私の靴拾ってくれた人に心当たりあったりする?」

「うーん、そう言えばどっかで聞いた様な」

と草壁。


「知らないならいいんだ!今日は有難う、次からは気をつけるから」

「あ、カコちゃん、俺ら守るって約束は忘れてないからね」

木元が返す。


薫子は一瞬にして思わず涙が溢れた。


「え?え?どうした?」

「大丈夫!ごめんなさい!」

と言ってその場を走り去った。


「おい、隠れてないで出てこいよ」

木元が声を掛けるとポプラ並木の陰から祐希が現れた。


「お前さ、帰り道も遅くなった時は後から見守ってるんだろ?」

「ん」

「いい加減素直になれば良くない?」

香山に言われる。

「でも俺なんかじゃダメなんだよ」

「カコちゃんがお前のこと目で追ってんな気づいてるでしょーが?」

草壁が珍しく声を荒げた。


「俺はまだ学生で何も持ってないけど、兄さんは地位も名声も持ってて財閥の跡取りだし……あの人の方がカコちゃんを幸せに出来るから」


「それはさ、お前が決めんじゃなくてカコちゃんにしか分からないんじゃないの?」


木元が言うと祐希以外はうんうんと頷いた。



※ もともとは「すぐに引き金(trigger)を引きたがる」という意味。物理的に銃を撃つだけでなく、「すぐに手が出る」「すぐ攻撃に転じる」という好戦的な性格を指す。

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