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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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第百十四話 着飾って


そして…

「やっぱり思った通り!」


支配人(マダム)が歓喜の声を挙げると薫子を取り巻く数人の助手の女性達も大きく頷き合っている。


三面橋に映る姿に薫子も驚きを隠せない。


首を取り巻く様な襟高の黒いワンピース。

前は膝下、後ろの方に行くほど丈が長く緩やかドレープを描いている。


襟から胸下までと袖だけ透け感のある花々の刺繍レースがあしらわれた生地。


その胸元のあたりだけ、ドロップ型に胸の谷間が少し見える様に下の生地が抜けておりレースが透けていた。


背中には、首元の左右から伸びているレースの生地で大きなリボンが結ばれ、その先が長く垂れ下がる。

リボンがある事で収まってはいるが、背中は肌が剥き出しのまま少し割れがあり、わざと開いているデザイン。

薫子は元々の癖毛を活かして、普段下げている前髪を上げ大きなウェーブを作り出して大人っぽい髪型にされ、生まれて初めての本格的な化粧を施され自分?誰?と言った感覚に陥っていた。


「あとはアクセサリーとお靴ですが……お嬢様、その胸元のシルバーは今のご衣装には…ちょっと」

支配人(マダム)が言う。


「これは外したくないんです」

薫子は"王冠苺"を握りしめる。


「ではお洋服の中におしまい下さいませ」

と言われ薫子は渋々首元から中に、祐希との唯一の繋がりであるネックレスを落とし込んだ。


「まあ、ちょっとここだけ高さが出ますが仕方ないでしょう」

"王冠苺"のある位置を指差しながら言って、支配人(マダム)は、

「イタリー製のイヤリングでございます。大ぶりなので少し重みがありますが、これもお嬢様の魅力を引き出すものですので少しのお時間我慢なさって下さいませ」


涙型(ドロップ)垂れ下がりタイプ、細かい網目模様が施されて、ゆらゆらと動く度にキラキラと光る。


確かに重さを感じる、

『こんなのいつまで我慢出来るのかしら?』

薫子は思う。


すると手元に

「こちらはドレスに合わせさせて頂く、バッグになります。中には、こちらでご用意したものですが、ハンカティーフとポケットティッシュにカバーをお掛けしたもの、本日のお口元にお使いした口紅(ルージュ)が入れてありますので、お食事の後にはお引き直し下さいましね」


黒いドレスと同じレースに所々ビーズをあしらった金色の短めのチェーンのついたパーティバッグを持たされた。


「チェーンを持たずに手を回して、お待ち頂けると更にお上品にお見えになります。最後にお靴ですが、こちらをご用意致しました」


『真っ赤なハイヒール!!』


「お嬢様のご年齢ですと、高めのヒールはお履き慣れてはいらっしゃらないとは存じますが、ちょっとお試し頂きたいので高さ違いを三足ご用意致しました。さあ、こちらからどうぞ。」

薫子の足元に差し出されたのはいかにも高さがありそうだった。


「ムリです」

つま先がツンと尖ったポインテッドトゥのピンヒールは七センチは完全にガクガクして問題外、次の五センチピンヒールもやはり危なかっしい雰囲気に、さすがの支配人(マダム)も諦めた様に

「お嬢様の様に可愛らしいキトゥンヒールがお似合いの様ですね」

と、三センチヒールにおさまった。


「こちらで当方でのお支度は完了でございますが、お嬢様の方で何かお気になる事はございますか?」

薫子は一瞬

『こんな格好で先生は私を何処に連れて行かれるのでしょうか?』と聞きたい気持ちを直希の体面を考えて押さえ込むと

「いえ、色々お世話になりまして有難うございました」

胸元で両手を合わせゆっくりと頭を下げてお礼を告げた。


すると支配人(マダム)一同慌てた様に、

「お嬢様、もったいないお言葉でございます。こちらこそ、お察しするにお化粧自体お初めてのことと存じますので、そこにお立ち合いをさせて頂いたことを光栄でございますよ」

嬉しそうに答えた。


そして全員で薫子に向かって丁寧なお辞儀をした。


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