第百二話 乱闘騒ぎ
瑠璃子が育った銚子市は醤油の街。
瑠璃子が子供の頃からすでに活気のある所だった。
琥珀が取れることも有名で、琥原の苗字はそこから由来するかもしれない。
そしてただの細身の女子大生の瑠璃子も大学四年生に進級する頃には、蜂蜜色の髪に、色白の肌、琥珀色の瞳の、十人中十人がその美しさを認める女性に成長していた。
ただし、中身は変わらない。
二十歳を過ぎて、困った事に大酒飲みであることも発覚。
酒が入った上での意見の対立、討論にでもなれば、大抵、男子学生相手に取っ組み合いの喧嘩に発展するのは決まりきったコースの様になってしまっていた。
そんなある日、討論の末の殴り合いの最中、いかに酒が入っていようとも男子学生は瑠璃子相手に本気を出していなかった事に彼女は大いに腹を立てて飛びかかった。
が、運悪く、相手のパンチを顔面に食らった上に倒れ込んだ先のテーブルに頭をぶつけて失神し救急車で運ばれる騒動を起こしてしまったのだ。
これは特待生としては大問題だった。
成績はとにかく問題を起こした事には違いがない。
周りの学生達も瑠璃子の特待生としてのプライドを尊重しており、あと一年というところで、この道が閉ざされるのは忍びない。
そこでその現場にいた総勢二十名ほどの学生達は、
事故なのか?障害事件なのか?の状況確認に来た警察官に、口を揃えたかの様に
「酔っ払って誰かが腕を振り回した時に、運悪く琥原さんの顔面に当たり、彼女が倒れた先にテーブルがありました。」
と答えた。
深夜、家まで確認しに来た刑事にゼミ担当の教授は酒宴自体知らなかったと答弁を避け、参加もしていなかった光希に事の収拾を押し付けて来た。
結果、警察は学生の言う事を信用した。




