第百話 事実を知ったら……
この噂話しは巡り巡って光希の耳に入ったのは、翌週のことだった。
製図の教授が先週から指導に戻ったので光希は、手伝いをさぼって研究室にこもっていたのだ。
そこに教授がやって来て
「稲垣君、琥原さんに何で髪の毛のことで意見したんですか?」
「長ったらしくしていて、線引きしにくそうだったからです」
光希はムスっとして言い返す。
「決して裕福な家庭の子女でもなく生活費を自分で何とかしているらしく、髪のせいでアルバイトを首になって困っているらしいととある男子学生から聞きました。彼女は成績優秀者で入学して初の女子特待生※です。事例研究なんですから気をつけて物を言って下さい。我が校の品位にも関わるようなアルバイトでは困りますけど、これで大学をやめられたら、もっと困るんですから」
と、くどくど言って去って行った。
「奨学金制度……」
光希自身も奨学金を得て大学を卒業したが、成績維持の圧力が常に背後にいることを意識する極めて厳しいものだった。
「それをあの子も感じながら過ごしているのか。」
髪の長さが生活の糧になっているとは、思いも寄らなかった。
決して光希はその境遇に肩入れするつもりはなかったし、髪のことで謝るつもりもなかったが、高見沢を通して研究室の室員のアルバイトをする様に誘った。
当初、その研究室の室長が光希であることを知らなかった瑠璃子はそれを知って一度は辞退を申し出るも、日曜日に働かなくても済みそうなアルバイト代の良さに我慢することにした。
瑠璃子は気の強く、他学年交流の意見交換会の様な催しで学年が上の男子学生にも意見の相違があり矛盾点などを感じると、食ってかかる上に取っ組み合いの喧嘩をする様な女子学生だった。
が、それはそれで終わるとお互い様の様な雰囲気になり、学年の上下関係なく会話を交わせる様な関係になれる不思議な魅力を持った女性でもあった。
100分の2の青写真をお読み頂いている皆様!
いつも有難うございます♪
とうとう100話達成です!
この物語か私にとりまして初投稿となりますので、一喜一憂の日々でした。
まだあと少し薫子と祐希のじれじれ、めそめそ、プンプン、にこにこが続きますので、引き続き二人の応援宜しくお願い申し上げます!!
優月菜




