友達
「今日美鈴帰ってきたらアニメ見よ〜」
帰宅後、優樹菜の部屋で涼んでいると、優樹菜がベッドに寝転がりながらそう言った。
「珍し。優樹菜普段アニメなんか自分から見ないじゃん」
「いやなんか最近始まったアニメらしくて、今日クラスの友達に聞いたの」
「友達できるの早いな」
「音だってできてるじゃん」
「貴斗と沙良のこと?」
「そ」
「もう友達..でいいのかな」
「友達でしょ。私も2人とはもう友達だと思ってるし」
「そっか」
友達..
思ったより早くできたというか、まぁあっちから声をかけてくれたからなんだけど。これまで優樹菜以外友達と言える友達が居なかった自分としては、純粋に嬉しい。
「にしても、なんで小中と音は友達が居ないんだろうね」
優樹菜が寝転がりながらこっちに顔を向けて言う。
お前それは聞いたらあかんだろと思いつつ、確かに高校ではこんなに早く友達ができたと言うのに、これまでは居なかったんだろう不思議に思われるのは分かる。
勿論話せる人自体は数人いたが、友達と言えるかは怪しい人達ばかりだ。
「まあでも、ずっと優樹菜が居たからな。他の関係を作っても結局、て感じだったんだよ。優樹菜がいれば十分みたいな」
「...よくそんなことを恥ずかしげもなく言えるわほんと」
仕方ないじゃないか。実際そうなのだから。小さい頃からずっと一緒で、お互いが心を開きすぎた関係。他の友達を作っても物足りなくなってしまうと言ったら上からすぎるけれど、そんなことを心のどこかで思って居たから俺はそもそも友達を作ろうとこれまであまり思えなかった。
でも、その心を開きすぎていると言うのが最近どうも辛くなってきていた。優樹菜には俺を知られ過ぎていて、このままじゃ何も変わらないじゃないか、なんて思うようになってしまった。
だから友達を作ろうと思った。優樹菜に全てを知られてしまったから、友達を作ったり、新しい事に挑戦したりして優樹菜に新しい自分を知って欲しいって。
結局、優樹菜なんだ。結局俺は優樹菜を軸にしか考えることができていない。
そんな俺が新しく出会った貴斗と沙良のことを友達と呼んでしまっても良いんだろうか、そんなことをまた考えてしまう。
「たでーまー」
そんな時、優樹菜の妹である美鈴がの声が、下の階から響いた。




