姉の幼馴染
私、山田美鈴の姉には幼馴染がいる。
2人は今、アニメを見るとき食べるたこ焼きを文句を言い合いながら作っているのだが、少しややこしいので最初に姉の話をしよう。
「ねえあんたひっくり返すの下手すぎない?」
今そう言った人物が私の姉、山田優樹菜だ。普通にお姉ちゃんと呼んでいる。お姉ちゃんは私に似て顔立ちが整っていて、今私が通っている中学ではすごい人気者だった。多分高校でもそうなるのだろう。頭も私に似て良く、文句のつけどころがない人物ではある。
お姉ちゃんのただ一つの問題は、お姉ちゃんの幼馴染とほぼ共依存関係にあることだ。
「そっちの方が下手じゃんそれ絶対優樹菜が食べろよ」
今、そうお姉ちゃんに苦言を呈したのがその幼馴染、清水音だ。音は一言で言えば、陰キャだ。暗いし、友達もお姉ちゃんと私以外いない。ただ幼い頃から一緒というのもあってか話が合うし、一緒に居て楽しいのは事実だ。とは言え、そんな音とお姉ちゃんが家ではずっとべったりで、それはどんどん悪化していっている。由々しき事態と言わざるを得ない。
付き合っているならまだいい。正直それでも一緒にいすぎなレベルではあるが。でも2人は付き合っていないのだ。幼馴染ってこういうもんだよと2人は言うけれど、絶対にそうではない。
「はぁ...」
「ないため息ついてんだよ。美鈴も協力してくれ。優樹菜マジで下手なんだ」
「いや音が下手なの。とにかく協力して」
「はいはい」
そう言い、私もたこ焼きのひっくり返しに参加する。私から見れば、どっちもまあまあ下手である。
「マジそんなんじゃ貴斗と沙良呼んでタコパできないよ?」
「そんな話出てねえだろ。..でもまあゆくゆくはしてみたいな」
音が照れくさそうに言う。って、え?
「え?音友達できたの?」
私の言葉に音の手が一瞬止まり、音がにっと笑う。
「できた」
「え!?まじ?」
「まじ」
「てか沙良って女の子!?」
「そう」
「まじ!?」
「美鈴うるさい。手を止めるな」
お姉ちゃんの声なんて聞こえない。それほどまでにこれは大ニュースだ。まさか音に高校入学早々友達が出来て、しかも1人は女の子だなんて。
お姉ちゃん、これはやばいんじゃない?
そう心の中で思いつつ、口に出すことはしない。
実は私には、それを応援できない理由があるんだ。
「美鈴?大丈夫か?」
音が、硬直している私の目を覗き込んでくる。近い。
「っ..」
頬が熱くなるのが分かる。
そう、これは最近芽生えた気持ちだ。




