私の幼馴染
私、山田優樹菜には異性の幼馴染がいる。
名前は清水音。家が隣で幼稚園から現在高校まで一緒の仲だ。性格は陰気くさくて、友達といえる友達は多分私しかいないんじゃないかと思う。でも、悪いやつじゃない。
私は友達が多い方だと思うが、なんだかんだ一緒にいて一番楽しいのは音だ。中学のお互い面倒臭い時期も、お互いの部屋に行き来することはやめていなかった。
そして今も、音は私の部屋の床に寝そべり
黙って漫画を読んでいる。今日は高校の入学式があったというのに、この景色は私が産まれてきてからというもの、全く変わっていない。
「..男女の友情ってさぁ」
「え?」
口を開いたかと思えば、明らかにやばいことを言おうとしている音。こいつ、この変わらない景色を今ぶっ壊すつもりじゃないだろうな。
「成立するよな」
「ほっ..」
良かった。平穏は保たれた。
「優樹菜はどう思う?」
「いやそりゃ成立するに決まって..」
出かかった言葉が、なぜか途切れる。
いやいや、するに決まってる。現に私は音に対して恋愛感情を抱いていないし、音だって今そういう意味で言ったのだろう。
好きじゃない。いや好きだけど。そういうんじゃない。
...でも、なぜだろう。口に出して、そう言い切りたくない。
「優樹菜?」
「あ..えっと」
音の表情が段々曇っていってる気がする。
やめて。違うんだ。好きなんかじゃないんだって。なんて言えば良い。なんて言えば..
「勿論恋愛感情とかではないんだけど..ただの友情とか、そういう言葉でも括りたくないって言うかぁ..幼馴染...?」
「えなに、俺たちの話?」
「..あれ違ったっけ」
「いやまぁ含まれはするけど..一般に男女の友情は成立するのか、っていう」
「あぁそうだよねそうだった。....分かんない!」
「えぇ」
思いついたことをそのまま言ってしまったせいで、より状況が悪化した気がする。
「でもたしかに、俺たちはちょっと例外かもな」
「..だよね?」
「うん。幼馴染って時点でそうだし、その中でもこんな一緒にいるってのは珍しいんじゃないか?」
「そうなのよ」
「友情..って単に括りたくはないかも。たしかに」
分かってくれた。同じことを音も感じてくれたという高揚感で、自然と笑みが溢れてしまう。
「なんか恥ずいな」
そう言い、赤くなった頬を隠すために再び漫画を読み始める音。..かわいいな。ずっとこの部屋に入れておきたい。
..これも、そういう幼馴染的なあれ
「音来てるー?」
その瞬間、部屋のドアが勢いよく開き、私の妹、山田美鈴が飛び込んできた。
美鈴は今年で中学二年生になる。音とも仲が良く、よく2人で私の知らないゲームや漫画の話をしている。そっち方面は多分いや確実に音に影響を受けているのだが、性格は明るく、友達も多い。多分私よりも。
つまり美鈴は私の性格と音の趣味趣向などとを無理やり合体させたような人間なのだ。
「これ友達にやらせたらハマっちゃってさ。なんか抜かされそうだから協力してくんない?」
「勿論だ相棒」
「フハハ。ありがたい」
早速2人でスマホを隣り合わせゲームに熱中し始めてしまった。
「あそういえばさ美鈴」
ゲームがひと段落ついたであろう時、音が口を開いた。
「なに?」
美鈴がおそらくゲームの進捗を友達に見せびらかすL◯NEを送りながら、返事をする。ガキめ。
「美鈴は男女の友情って成立すると思うか?」
「え..なに、2人でそんな話してたの?」
美鈴が私と音を交互に、訝しげな目で見つめる。
「お姉ちゃん達は、どういう結論に至ったわけ..?」
今度は私と音が目を見合わせる。
「まぁ..」
「ねぇ..?」
美鈴がギョッとした顔になり、恐る恐る口を開く。
「付き合った...?」
「なわけ」
「ガキ!」
「良かった〜!」
美鈴が心底安心した口調で言う。
「私はね、すると思う!だって2人がそうじゃん」
「なるほどねぇ..」
「...ガキね」
「あれ、期待した回答と違った?お姉ちゃん達の結論はなんなの?」
結論を話す。
「いやそれ結論って言うにはふわふわしすぎじゃない?」
「う..」
美鈴は再び私たちを見る。
「2人ってなんか..拗らせてるよね」
「..」
「..そうかな?」
「うん。なんか、幼馴染って関係に逃げてる感じ。なんていうか、お姉ちゃん達が一番ガキ」
「....」
「今日から高校生でしょ?もっとハッキリ生きてこーよ」
私達は何も言えず、美鈴はスマホ画面に戻った。
その後、私の家で夕食を食べた音は、夜10時くらいに隣の家に帰って行った。
「お姉ちゃんさ」
「....なに」
「まあ野暮なことは言わんよ」
「なんなの!好きじゃないって!」
「うんうん。私もそういう簡単なものじゃないことは分かってるよ。」
「...ガキのくせに」
「はいはい。ただ少しでも何かが変化するyいうに一個言っとくね。」
「なんなの?」
「お姉ちゃんがいつも親しいでインスタにあげてる音の手とかの写真」
「....」
「あれ音は他にインスタで繋がってる人いないから普通だと思ってるけどさ。普通にめっちゃきもいよ。邪な欲を感じる。」
「別に良いじゃん...」
「付き合ってるならね」
「あんたさっき男女の友情は成立するって..」
「普通の友達はそんなことしないんだよ。あと、私やっぱり成立しない派だから」
「は!?」
そう言い、美鈴は私の部屋を出て行った。
明日は、高校で初めての授業とお昼がある。




