再起動はいつも力技で2
情報のすり合わせは一時間ほどで終わった。途中ダンジョンコアくんがお茶やお茶菓子を用意してくれたりとまめまめしく動いていたのが微笑ましかった。
ダンジョンコアさんのお茶など大丈夫かと思っていた過去の私を殴りたい。
「思ったより大ごとに遭遇しましたね」
リンゴがため息と共に吐き捨てた。
「言うなよ、俺も頭を抱えている」
実際両手で頭を抱えてしまったいる私がいます。
「ご主人様大丈夫ですか?」
礼儀正しくなった封印の巫女さんが心配そうにこちらを見てくる。
「とりあえず今日は寝よう。もうダンジョンの入り口も閉じたことだし」
封印の巫女の再起動と、ダンジョンコアの掌握により機能不全を起こしていた次元間逃走システムの再起動に成功しているので現在このダンジョンの入り口を発見することは不可能である。
「なら一階層の佐藤様を何とかしてきてください」
さて寝ようとダンジョンコアくんにお願いして、いい感じの部屋をマスタールームの横に作ってもらおうとしていた私は、リンゴさんにそう言われて後片付けをお願いしていた事を思い出した。
リンゴさんに転移してもらって再び一階層に到着する。ダンジョン内限定とはいえこの機能は便利だな。
「佐藤さんお疲れ様」
片付けが終わったのか、かなり巨大なスライムになっている佐藤さんに声をかける。肩に乗っていたミニ佐藤さんも本体に合流し合体した。
分体を通じて聞いていたが中々面倒なことになっているなと想話が届く。
「本当にね。どうしようかなと思案しているところだよ」
やれやれと両手を上げながらこうさんのポーズをとる。
何か手伝えることはあるかな?と佐藤さんが聞いてくる。知識も経験も能力もある佐藤さんに言われると魅力的な提案だ。
「ありがたい申し出だけどね。これは多分人が解決しなければいけない問題だから頑張るよ」
そうなのだ。今回発覚したこのダンジョンの秘密は我々今を生きる人が解決しなければいけない問題なのだ。
その意気や良し、とスライムの腕で優しく頭を撫でられる。
「ありがとうね」
佐藤さんにお礼を言うと、元の世界に送り返す術式を描く。その時に体から小さい分体を切り離し肩に乗せてくれた。お腹も膨れたし、少し高性能な分体というか、我が子を預けると想話がくる。心配かけていることよりも、私のためにしてくれた心遣いが嬉しくてお礼を言って元の世界に送り返した。
「さて佐藤さんジュニアくん、これからよろしくね」
そう言って肩のスライムを撫でるとジュニアと呼んでくれ長いからと想話が来た。
「よろしくねジュニア」
今度こそ二人で握手をしてマスタールームへと再び転移した。
部屋につくなりリンゴさんとジュニアの激しい喧嘩がいきなり始まった。
「あーの魔王はちゃっかり何してくれてるんですかね本当に」
そう言いながらジュニアに向けて光線を放つ。横でダンジョンコアくんと封印の巫女さんが震えながら抱き合っている。
魔力障壁のような、固有障壁のようなわけのわからない謎力で光線を防ぎつつ、リンゴの周囲の空間から伸ばした体を出現させて黒い光線をお見舞いしているジュニア。
「はいはいそこまでね」
このままだと埒が空かないと判断し、手を叩きながら間に割って入る。
「マスターがそう言うのであれば」
不服そうな声でリンゴさんは納得し、ジュニアはこいつはもう少しマスターを大事にするべきだと想話を全方位に向けて送ってくる。
「ダーイージーニーシーテーマースー」
リンゴがすねて頭の上で寝始めた。その様子を見たジュニアは、やれやれと言うリアクションをしてから定位置の右肩で安定した。
「ご主人様、佐藤様から頂いた魔石がかなり対象にありましたのでエネルギーに変換し隣に居住空間を作りました」
巫女さんがそう言うといつの間にか出来上がっていた扉を指差している。
「ありがとう、それは助かるよ」
お礼を言って床に置きっぱなしだった荷物を担ぎ上げ扉を潜る。槍よ、扉に引っかかるから勝手に出てこないように。




