第十二話 悪夢
#第十二話 悪夢
「クロエ、ようやく会えた」
ルークさま、お昼会いませんでしたっけ?あ、一瞬だけか。
「クロ、ようこそ」
レオンさまの言いっぷりからすると、やっぱりここは三人のお部屋なのかしら。
「ちーちゃん、こんばんわ」
起きている間は三人が日替わりだけど寝ている時は一緒に出て来る。
夢だからと言って油断出来ないのよね。
何しろ誰も私のいう事聞かないし。
「皆さんこんばんは。どうしてお揃いなのかしら?」
「デートもしてもらったし商取引の手助けもしてもらったしクロエには感謝しているのに帰りの馬車で怒らせてしまったから三人で謝ろうと思ってな」
ほらやっぱり謝るくらいなら最初からしなきゃいいのに!
「三人同時にクロに会えるのがここしかないからここに揃っているが、心配しなくても変な事はしないぞ」
その一言が余計なのよね。それならどうして昼間エイルさまを使って変な事しようとしたのかしら。
前回と同じ天蓋付きのベッド。これはやっぱり三人のお部屋にあるのかしら。
「お昼の一件があったあとでは信用出来ません。少し話し合いが必要と思っていました」
三人を順番に睨むと首をすくめてイタズラを見つかった子供のようにバツが悪い顔をされる。
「それについてはすまなかった。つい調子に乗った」
ルークさま、調子に乗ったらなんでもしていいわけではありません。
「ところで夢だと度々ここでお会いしますがここは三人のお部屋なのですか?」
「ん?どうしてだ?」
あれ?レオンさまがそうおっしゃるって事は、ここは三人の部屋ではないのかな?
「確かに私の部屋に近い気もするが、天蓋付きのベッドはない。クロエの願望が現れた部屋なのかと思っていたが」
なるほど、私は天蓋付きのベッドで王子様といちゃいちゃしたいと常日頃考えていたもんね・・・無理がある。
「これは僕の夢かも。小さい頃ベッドの中からお母さまを見上げてたから」
ベッドから見上げたら天井が見えると思うのだけど。
もう少しヒントが欲しい、そう思ったらルークさまが答えを出された。
「ああ、なるほど、父上と母上の部屋のベッドか。それなら納得出来る。確かにこんなベッドがあったような」
ここは三人の希望が少しずつ叶えられている部屋なのね。
「それにしても、お昼の事は忘れませんからね。どうしてご自身の口で堂々とゴニョゴニョ」
私は言いかけてこの言い方はまずかったと最後は適当にごまかした。
ルークさまは無言で私の隣に腰掛けられる。ベッドが沈んでルークさまにもたれ掛かってしまう。
「クロエ」
反対にはレオンさまが座り、同じくベッドが沈み今度はレオンさまにもたれ掛かってしまう。
しかも肩を抱くとか乙女の危機が危ない!
「クロ」
そしてエイルさまは伸ばした私の足をまたぐようにして座られる。私はエイルさまの背中を支えてだっこの形になった。
「ちーちゃん」
「夢の中だから何でもしていいわけでない事は承知している。もし仮に解呪の場所が口でも効くのならとても悲しい。だから切り替わる心配のない夢の中で一度試させてくれ」
そうなのよね、とても大事な事なのに、切り替わってしまったら私も悲しい。
「分かりました」
そして今の気持ちはまだ三人のうちの誰か一人を選ぶ気にはなれなかった。
ん?もしかして順番?順番にするの?
心の準備が出来る前に右に座るルークさまが私の右頬に解呪される。
間髪入れず左の頬にレオンさま。
そして、エイルさまが上半身を伸ばし、私の口に鼻を押し付けられた。
夢の中だからこそ、三人が実体を伴って同時に私に接してくれる。
切り替わる心配なく色々出来るのは分かる。
分かるけれど、初めての相手とは二人きりでロマンチックな雰囲気の中で気持ちが高まっていくのがいい。
決して他の二人に見られながらとか、三人交互にとかそんな過激な事はしたくない。
したくないけれど、私の初めてはそんな状況だった。
夢、夢だから!




