↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフォイグナ  作者: ハル氏ら
第1章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

第8話 「侵食」

唐突だった。

疲れているせいだろうか?

頭が割れるように痛む。


あまりの苦痛に、再び眠りにつくことができない。


「師範、頭痛薬ってありませんか?」


隣で眠っているはずの、師範を起こそうと手で探る。

だが周りに誰かがいる気配を感じない。


師範は、この時間だと必ず眠っているはずなのに。


ぼやけた視界を取り戻すために目を擦る。

だがどれだけ擦っても、目の前を覆うモヤが消えてくれない。


……というか、この感じって……。


この二日間で、俺の身に起きている異変。


頭痛と視界不良。


特に、昨日はその直後に、フォーグナーが現れた。

今、俺のこの感覚はつまり……。


「師範はどこに?」


あの人に限って、殺されてしまう様なことはないだろう。

でも、あの怪物を相手にするのは危険なんだ。。

師範でも、時間がかかりすぎたらきっと……。


ーー直後。


スパァァアン!?


まるで何かが破裂したかのような、大きな音が鳴り響いた。


……道場のほうだ。


音の正体を突き止めるために、寝室を飛び出し大急ぎで、道場へ向かった。


「師範!」


勢いよく道場に入るとそこには、何かを踏みつける師範の姿があった。


「ここまで近づかれなければ、殺意に気づかぬようでは、命がいくつあっても足らんぞ。」


……やっぱりそうだった。


その足元にいたのは、昨日にも見たフォーグナーだった。

うめき声をあげ、苦しんでいる。

まだ完全に吞まれているわけではないみたいだが、体から出ている黒いモヤが、そう確信させる。


「何だ、こいつは。こんなのがいるなんて聞いていないぞ。」


フォーグナーは、驚愕の声を漏らした。


それは俺も同じで、こんなにも簡単に師範は、フォーグナーを倒してしまったのだ。


「だが、あのガキだけでも……!?」


そういって、黒い触手を伸ばしてきた。


でも師範は、すぐそれに反応してみせた。


「ほう、やけに頑丈な奴だと思っていたが、人間ではないのか。」


「いったい何があったのですか?」


まさか、フォーグナーが、こんなところに現れるなんて。


「妙な邪気を感じていてな、しかも、こちらへ殺意を向けていることに気づいたのだ。よって、しかるべき対応で客人をもてなしたまでだ。」


「殺意を?いったい誰を狙っていたでしょうか?」


師範は、俺に向かって指をさした。


「さっきのを見て確信した。狙われていたのは、お前だ。」


そんな、どうして?


セルジオがフォーグナーを殺したから?

あの時、何かに見られていたのか?


「悠真……いったい何をしていた?」


顔が全く笑っていない。

鋭い眼光で、心臓を鷲掴みにされているような、感覚に陥る。


「しっ……しは…ん。あの……ですね。」


言葉が出てこない。

何をどう話すべきか。

そもそも話すべきなのかが、分からないからだ。


「……まあいいだろう。お前が話さなくとも、他にも聞ける相手はいる。」


「……。」


俺は、何も返せず、口を詰まらせる。


「悠真。お前は、私の前に立ったままなのか?」


「……いっ、いずれ話します。少し整理させてほしいんです。」


「違う。他にもっと重要なことがあるはず。」


師範は、足元のフォーグナーに指をさす。


「この男は、お前を狙ってここまで来たのだぞ?それが何を意味するか。分からないのか?」


……ッ!?汐苑!!!


なんですぐに気付けなかったんだ?


最悪の事態が頭をよぎる。


その瞬間、師範の声も何もかもが、見えなくなった。


一気に、道場を飛び出し、石段を駆け下り始めていた。


「本当に愚かな弟子だ。すぐに気づけぬとはな……とは言え、やはりお前にもあったようだな……。」



汐苑の無事を祈り、ただ間に合わせろと体に鞭を打ち、走らせ続けた。

石段を抜け、住宅街に入り込み、汐苑の家へ続く道を、無我夢中で突っ走る。


いつも通る道に入った時、奇妙な光が見えた。


焦りが募る。

やっぱり、汐苑のところにもフォーグナーが。


息をするのさえ切り捨て、その一瞬に全てを賭けた。


そして、ようやく汐苑の家が目の前に近づいてくる。


頼む無事でいてくれ……!?


何かが汐苑の家を飛び出してきた。


「汐苑!!!無事か!?」


声を張り上げながら、その影に近づいた。

でも、何かを背負うその影の正体に俺は、驚愕の声を漏らす。


「……そうか……また、お前が……。」


涙があふれそうになる。

その目に映っていたのは、汐苑を背負った和泉だったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。