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ライフォイグナ  作者: ハル氏ら
第1章 

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第4話「異変」

セルジオと話を終えた後、俺と汐苑は、再びあの路地裏に帰してもらった。

もう夕暮れで、ただでさえ光の入り込みが少ないこの場所は、かなり薄暗くなっていた。


「じゃあ、気をつけてね。」


セルジオは俺たちを放置したまま帰っていった。


「……ひとまず今日は家に帰ろ。」


「それがいい。俺、疲れすぎて頭痛いんだわ。」


頭がズキズキするし、耳鳴りもする。

あの話を聞いた後……いや、もっと前。

和泉に頬を切られた時くらいか?

きっと突然の出来事で、ショックが続いているんだ。


……にしても今日は、本当に色々なことが起き過ぎだ。


「まあゆっくり休もう。明日もセルジオ(あいつ)に会わなきゃいけないんだし。」


「ああ、夏休みで良かったよ。まだ普通に学校がないだけマシだ。補習は残っているんだが……。」


まあ……なんとかなるか。


「じゃあまた明日な!」


「うん。バイバイ!」


汐苑が家に入っていったのを見届け、俺は、自分の家に向かい始めた。

その頃には、もう日は沈み、辺りは真っ暗になっていた。


8時って、もうこんな時間かよ。

母さんが、心配する。


少し急ぎ足で、帰っている道中。


何だ、これ?


細い毛の束のようなものが見える。

それが、どこかへ続いていた。


どこに続いているんだ?


触れようとした。

でもそれは幻覚だからか、触ることができない。


少しずつ太くなっていくそれに目を奪われながら、その先にあるものを追い始めていた。


なんかモザイクみたいに目が霞むな。


そう思っていると、誤って人とぶつかってしまった。


「わっ!すっ、すみません。」


「……。」


少し嫌そうな顔をしながらどこかへいってしまった。


結局、あの毛も幻覚でしかなかったようで、それ以降全く見えなくなった。


ーーー次の日、喫茶店で。


「そんで、そのまま家に帰ったんだけど、何だったんだろうな、あれは。」


「君も察していたように、疲労による幻覚だろう。とにかく、無事に帰れたのであれば何よりだ。」


セルジオは、紅茶を飲みながらそう答えた。


魔術師が、そう言うんだったら、そう言うことなんだろう。

でも、幻覚というには、はっきり見えすぎていたというか……まあ、いいか。


「で、そもそもどうやって探すんだよ。」


「ニュースを見てきたかい?」


「ニュース?」


「ああ、というか最近のニュースは見ているかい?」


最近のニュースといえば……。


「殺人事件とか、多いような。」


「そう。その起きている事件の原因は、フォーグナーにあるんだ。」


嘘だろ。

もう何件起きているか分からないぞ。


「じゃあ、その事件現場周辺を探るってことですね?」


セルジオは笑顔で頷く。


「最近事件が起きた現場。ちょうどこの近くなんだ。さっそく今から向かうよ。」


今からって、どのくらいかかるんだ?


「今日は、空手の稽古があるんだけど……。」


「僕も、昨日遅かったから、今日は早めに帰らないと……。」


「大丈夫さ。一件だけ、ホントに今から行く一件だけだから。それだけ付き合ってよ。」


うっわ〜。


自分たちよりも年上とは思えない表情をしていて、俺も汐苑も少し引いている。


「何だその目はぁ!目上の人に対して失礼だろう。」


「はいはい、分かりましたから。早く行って終わらせましょう。」


セルジオは、不機嫌そうな顔を浮かべた。

納得いってないようだったが、しぶしぶ俺たちと一緒に事件現場に向かった。


「規制線が張られてるけど、本当に入れるの?」


汐苑が、周囲を気にする。

だが、自信満々の様子でセルジオは答えた。


「僕が誰だか、お忘れかい?人除けの魔術ってのがあってね。ほら、そもそも誰もいないじゃない?」


確かに、辺りに人の気配は全くなかった。


「ってことさ。さあ、入るよ。」


言われるがままに俺たちは、建物の中に入る。

中は意外に綺麗な状態で、争った形跡があるわけではなかった。


黒い……影?


遺体が倒れていたであろうところには、シミのようなものが広がっていた。

ただ、血が乾いて変色したものとは、どこか違う様な気がした。


「汐苑は、見ない方がいい。」


咄嗟に、汐苑の目に入らないように隠した。


「ありがとう、悠真。でも、もう前に進まなきゃ。」


そう言って汐苑は、隣に座り込んだ。


「うん。大丈夫。」


「そうか。なら良かったよ。」


トラウマ、乗り越えることができたんだな。

なんて感慨に耽ってしまった。


「分かるかい?これが奴らの痕跡さ。」


「血ではないんですよね?」


汐苑が、冷静に質問する。


「そうだね。奴らの力がこびりついているんだ。」


「魔法か何かを使ったってこと?」


「……。」


なんだ?


また変なものが見える。

部屋にある痕跡全てから、黒い毛の様なものが飛び出ていた。

そしてそのすべてが同じ方向へ向かって伸びている。


またどこかへつながっているのか?


その線を目で追う。


前と同じだ。

先に進むほどだんだん太くなっている。

何でまた同じ幻覚が……うわ、また視界がボヤけてきた。


何だろう。

ものすごく嫌な予感がする。


ガチャ……ギィィィィ。


突然、扉の開く音が響き渡った。

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