↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフォイグナ  作者: ハル氏ら
第1章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

第11話 「その術があれば」

暖かく心地の良い光を感じて、目を開ける。

空はすっかり青く澄んでいて、煌々と燃える星が浮かんでいた。


ああ、俺は気絶していたのか……。


あの戦いの痕が、嘘のように消えている。

俺が倒したフォーグナーたちはどこに行ったんだろうか。


「目が覚めたかい?いやぁ、ナイスガッツだったね。」


俺の意識が戻ったことに気づいたセルジオ。

水の入ったコップを持ってきてくれた。


「ありがとう。丁度のどがカラカラだったんだ。」


俺は、渡された水を飲み干した。

その瞬間、体の芯からすっと軽くなったような感覚がした。


「びっくりした?安心しなよ。鎮痛剤みたいなものだから。」


「あはは。どんなものかは聞かないでおきますよ。」


「さて、立てるかい?奥で、汐苑君も待ってるから、来なよ。」


どうやら、汐苑も目を覚ましているみたいだ。

小屋に入ると椅子に座る汐苑の姿が見えた。


「悠真!」


汐苑は、俺の姿を見るなり、いきなり抱きついてきた。


「おい、どうしたんだよ。」


「悠真、僕が寝てる間に……ここに連れてきてくれて……こんなにボロボロになるまで戦って……守ってくれてたんだよね。ごめん、また迷惑かけて……。」


なんだ、そんなことか。


「大丈夫だ。別に俺は迷惑なんて思ってないから。それより……お前は会わなかったのか?」


「会わなかったって何に?」


なんだ。和泉とは会わなかったのか?


それを教えてやろうかと、一瞬迷ったが、セルジオがいる手前、和泉のことを考えると今じゃないと思った。


それより今、俺が聞きたいことは……。


「あれから、フォーグナーたちはどうなったんですか?」


「最後の子以外は、全員捕まえてあるよ。」


最後の……。


やはり変貌が始まってしまった人は、殺すしかないらしい。

その変化の先にあるものが、世界に影響が出てしまうから……。


「捕まえたと言ってもどうやって?」


「う〜ん。世界から隔絶したのさ。ゲームとかで、裏世界っていうがあるよね?……イメージはそれに近いのかな。僕の魔術はそこに繋がる扉を自由に作り出す。」


「フォーグナーに汚染された人たちを、その魔術の力では治すことはできないんだな?」


セルジオは首を振りながら、ため息をつく。


「奴らの魔法に、魔術で対抗することはできない。」


「よく分からないんだが、何が違うんだ?」


セルジオは、どこからか本を持ち出してきた。


「創世記、かつて何もなかったこの世界に光が生まれました。光は、空と大地を作り、そこに命を作りました。似たような話聞いたことない?」


「はあ。まあ、少しくらいは……。」


「最後に光は、自らを投影した生命を生み出した。人間さ。そして彼らはその光の姿を見て、こう呼んだ。神さま。」


なんとなく知っている話だし、関係もないように思えた。


「創世の光は、世界へ散り散りになり消えていった。だがその意思は、指輪となり、一人の子の手に渡った。ソロモン。後に魔術の王と呼ばれた男だ。」


「魔術しか出てないじゃん。魔法は?」


「あれ、僕もう言ったつもりなんだけど。」


周りくどいな。

はっきり言ってくれればいいのに。


とは言え、なんとなく察することができた。


「創世の光。その力が魔法っていうことですか?」


汐苑も察したようだ。


「そうそう。そして、ソロモン王が、人々に教えた術。散らばった光かけら、マナを利用して、行使しているのが魔術だ。」


「つまり、魔法のかけらが、魔術で、力が弱いから、魔法に勝てないってことだな。」


「そういうこと〜。」


でも、おかしいないか?

別に魔術で、フォーグナーを倒せていたはずだ。


「魔術が効かないなら、どうしてフォーグナーを倒せたんだ?」


「壊すのと治すのを同じにしてもらっては困る。理を書き換えるなんて、そんなことは魔法使いにしかできない。」


じゃあ、魔法使いにならできるってことか?


「なれないのか?魔法使いに?」


「分からない。そのビジョンが浮かばないからね。」


初めてみた。

ヘラヘラしていないセルジオの顔は。


「魔法が使えないのが、そんなに辛いことなんですか?」


「……いや。ただ、彼女の姿を思い出してしまっただけだよ。僕は……その……魔法使いの弟子だったんだ。」


……んん?


「僕には、その資格がなかったんだ。」


「そもそも、魔法を使える人がいるのか?」


「ああ、いたんだ。でも……もうどこかに行ってしまったんだが。」


すごく悲しそうな顔をしている。

セルジオの見てきた世界って、一体……。


「教えてください。」


「はっ?」


真剣に頼んだ俺に対して、セルジオは、虚を突かれたような顔でポカンとしていた。


「この先、フォーグナーたちと戦うことになった時、今の俺は力不足だ。それに今の話だと、鍛錬次第で、魔法が使えるようになるってことなんじゃないか?」


「ぷははは、ははは、ははははぁ!!!」


セルジオが、顔を真っ赤にしながら大笑いをする。


「君が魔法を?無理無理、君たちどっちも、魔術師にすらなる資格がないんだからね。魔力孔が開いてないんだよ、君たちの体には。ふふふ。」


少しガッカリした。

とは言え、魔法使いと言う存在を知れただけでも、進展だったのかもしれない。


和泉が、人に戻れる可能性が、少しでもあるならそれに越したことはないのだから。


「……でも……確かにそのままの状態の君たちといても、僕自身が安心できないかも。だから……う〜ん。どうしようかな。」


「渋ってないで、何かあるなら教えてくださいよ。」


「しょうがないなぁ。これ、何かわかる?」


そう言いながら、懐に手を入れるセルジオ。

ニヤリとしながら、取り出したものは、見たことのない文字の書かれた石だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。