定義 花束
私は逃げていた。
あの男を殺したあと自分も死んでもよいと思っていたのに。
妹は死んだ。母もLa seconde bataille de Parisで病院から逃げられず死んだ。父も死んだのだろう。きっと。もう私しか残っていない。
私は意志が弱いのかな。
Élysée Palaceから逃げた。
Andreas Clemmenを殺したことから、その国家への貢献からLégion |d'honneur《ドヌール賞》を叙勲されると言われた。
でも、私の目的はそれではなかった。
後続車両の黒いスーツの男が銃を撃ってきた。
窓ガラスが割れる。
私はハンドルをきった。
血の味がする。
私の目的は同じく叙勲されるLouis Leclercだった。
Place de la Concordeの目の前をスピードを出して通り過ぎる。
私はÉlysée Palaceに招待された。
初めて来たÉlysée Palaceは壮大で、自分が来ていいところなのだろうかと思ってしまった。
そして、その時が来た。
川が見えたところで私は右折した。ギリギリで右折成功。追手は……まだ来てるか。
Élysée Palaceに入ったとき、私はそのきらびやかな装飾に目が眩みそうになった。
そして、そこにあの男がいた。
軍服を着た30代くらいの男。
私はこらえきれなかった。
ここで死んでも構わないと思った。
ここが私の絶頂期だ。
銃を取り出し、彼を撃った。
《France》史上の英雄はあっけなく倒れた。
そして…何を思ったか私は走り出した。入り口に向かって。ドレスが邪魔だったことを覚えている。
ドレスの裾を引きちぎって走った。水色の布がひらりと舞った。
川沿いを進んでいく。
右手にGrand Palaisが見えた。Rivière de la Seineはこんな時も月を反射してきらめいている。
その後、私は駐車場に停めていたプリウスに乗り込んだ。追手がいるのが分かった。
私はPo|nt de l'Al《アルマ橋》maを渡る。
私はどこへ向かっているのだろう。自分でもよく分からなかった。
右折してまた川沿いを進んでいく。
追手はまいたか?
私はやっと自分の目的地がわかった。
Tour Eiffel。
私はTour Eiffelの前の道路にプリウスを乗り捨て、走り出した。
目の前に武装した一団がいた。
警察。
私はそれを無視してTour Eiffellの階段を登り始める。
あいつらは銃を撃ち始めたがどうでもいい。
どうせ当たらないから。
私は上にいかなければならない。
9月25日午後7時12分(Paris時間)
目が覚めるとそこは病院だった。
体はまだ動かない。
「×ah〇tt▲eg■v?」
声が聞き取りづらい。
腕にはまたチューブが刺さっている。
また眠くなってきた。
私は眠気には弱いんだ。
9月18日午前3時21分(Wien時間)
「お。目ぇ覚めたか。」
はっ。
私はあたりを見回した。
透明なカーテン?
「Eli…jah…?」
目の前にいたのは少し温和な顔をした男。
「よかった。しゃべれるんだな。」
彼は笑った。
「ここは無菌室だ。まったく。Wienのど真ん中で何で放射能汚染になんてなるのやら。すごいな。」
彼はカーテンの外にいる。
「お前は1ヶ月寝てたんだよ。」
そうなのか……
「大丈夫か?」
「う…うん。大丈夫。」
9月25日午後4時46分(Wien時間)
Edenー。Tesifa Glenwood起きたみたいよー。
本当なの?だったら…私の最後の仕事かな。
最後ではないん…じゃない?《大統領特別首席補佐官》をやめるだけでしょ?
まあ。そうだけどさ。
じゃあ…もう準備はできた?《Rick》?
もちろん。じゃあ行くよ。《第1246命令》。個体名:Tesifa Glenwoodに命令する。Tour Eiffelにて個体名:Ambre Cézanneを救出しろ。
オーケー?
オーケーだよ。《Mary Jane》
9月25日午前10時46分(WashingtonD.C時間)
私は行かないと。どこへ?
私は行かないと。どこへ?
私は……
「ごめん。Elijah。ちょっと出る。」
目の前の男は驚いた顔をした。
「何言ってるんだ。まだ白血球数が回復してないんだ!無菌室から外に出ると普通の細菌でも重症化するぞ!」
私はベッドから立ち上がった。
チューブを引き抜き、彼に向かって笑って言った。
「言ってきます。」
彼はもう唖然としていた。
9月25日午後4時49分(Wien時間)
私は銃弾を受けて倒れた。
軍服が紅く滲んでいく。
「はあ。」
ため息をつくときつく痛んだ。
「待ちなさい!」
Gaspardが私と同じく勲章を叙勲されることになった女性を追いかけていく。そうか。彼女が撃ったのか。
彼女のことは小耳に挟んでいる。
彼女はStrasbourgに住んでいて、家族が《Hoffnung für die Zukunft》によって殺されたのをきっかけに復讐するために単騎でBundeskanzleramtに乗り込み、Andreas Clemmenを討伐した。
そうか……
「私も……復讐の対象だったんだな。」
私は数ヶ月前、ある命令を下した。
Strasbourgを放棄、破壊し武器を破壊しろ、と。
そして、数千人が亡くなった。
「ガハッ。」
吐血した。もう長くない。大動脈を撃たれたか…
最後の言葉?何かあるか?
そうだ…ひとつだけ。彼女を称賛しよう。
「《金色の復讐者》に花束を。」
私は彼女の髪の色…鮮やかなブロンドが…目に焼きついていた。
9月25日午後7時1分(Paris時間)
Tour Eiffelには二階まで行ける階段と、二階から頂上まで行けるエレベーターがある。
私は二階まで階段で登ったあとエレベーターに乗った。
Parisの夜景が眼前に広がる。
エレベーターは2分もかからないうちに頂上に到着した。
風が少し強くて寒い。
やっぱドレス着てくるんじゃなかったな。
私はもう覚悟が決まっている。
私は……飛び降りた。
近くにいたカップルが驚いて手を伸ばしてきたが、それは届かない。
私は生きる意味を失ったのかもしれない。
そっか。落ちるってこんな感じだったのか。
目には、先ほどいた展望台が遠く見えてくる。
頭に血が上っていく。
風の音がうるさい。
私は何かを残せただろうか。
私は幸せだっただろうか。
2つ目の自問に関してはOuiとはっきり答えられる。
家族4人、辛いことはあってもいつも乗り越えられた。
だけどもう終わり。世界から私という存在は消える。悲しい?いや…そんなことは…ない…とは言い切れない。
私の中にある気持ちは言葉では表せない。
私はいつもそうだった。一つ一つの言葉がどのようなものを定義しているのかが分からなくていつも変なことを返してしまうことがあった。
でも、それも今日で終わり。
嬉しい?いや…そんなことは…ない…とは言い切れない。
地上が近くに見えてきた。
もうまもなく私は激突し…て?!
「死なせないよ。」
そこにいたのはプラチナブロンドの少女だった。
「死なせない。私はあなたに何があったかは知らない。でもね。」
どうやってか彼女はTour Eiffelに垂直に立っており、私は手をつかまれている。
彼女は言った。
「もしあなたにその決断をさせてしまったのがこの世界なら、私はこの世界を否定する。」
嬉しい?いや…そんなことは…ない…とは言い切れない。
けれど、悲しみは少し薄まった。
9月25日午後7時17分(Paris時間)
第三反復は2011年を舞台にしているため、もしかしたら当時なかったはずの店や場所が出てくるかもしれません。




