第三十二話 森林侵攻
久しぶりの投稿です。
ここで話は一旦、綾小路家に恵がやって来た日まで時間を遡る。
「はぁ、私こんな所で何してるんだろう。」
町の一角に設けられたネット喫茶にて、綾小路優はネットサーフィンをしていた。彼女は夕食前に家を出ると、そのままここに入り浸っているのである。家でもインターネットは出来るのに、なぜこんな場所に居るかと言うと、恵に言われた邪魔と言うセリフを気にしているからである。
「まあ、私が居ないくらい、源なら何とか出来るよね。」
恵は一言こう言うと、再びネットの世界に入り浸り始めた。
「この掲示板は………あー、また爆乳友の会が専横してる。」
とある掲示板に足を踏み入れると、そこは既につい最近になって流星の如く現れた新興団体、その名も「爆乳友の会」が独占していた。名前こそ爆乳とあるが、掲示板に上げる事やチャットでの会話は、爆乳とは全く関係ない真面な事ばかりである。時折意味の分からない事を話し合っている事もあるが、会に参加していない部外者でも快く参加を許すのと、組織の首魁と思われるアカウント「ぽるたーがいすと」が皆を上手く抑えて平和を維持しているので、ネット内では密に人気を誇っている。
「折角だし、悩み相談でも………」
優は何か思う所があったのか、自分の心中を相談しようと考え、「ぽるたーがいすと」本人にこうメッセージを送った。
「何だか自分の家族の中での存在意義と言う物が分からなくなりました。」
すると、すぐさま返事が返ってきた。
「そうなんですか、貴方の家の事は私にはよく分かりませんが、考えている事は良く分かります。」
「どういう事ですか?」
優がこう返すと、またすぐさま返事が返ってきた。
「私の話ではないんですが、知り合いに家族の中で存在意義が本当に無いのではないか、と言う人がいます。」
返事の中に書かれている、詳しいながらも所々は端折った話によると、その知り合いの両親は、仕事もせずに遊んでいるような人物で、借金を重ねその借金を返すために借金をし、後は騙して連帯保証人に仕立て上げた人に任せて蒸発するような事を、平気でするうえに、常に喧嘩が絶えないばかりか普段の鬱憤を自分の子供にぶつける。所謂ところの「児童虐待」を繰り返していたと言う。
「それで、どうなったんですか?」
優が訊くと、
「その人は今は家を出て、優しくて働き者の両親のもとで生活をしています。」
このような返事が返ってきて、最後にこう締めくくられた。
「家族の中で存在意義と言うのは、貴方が家族に“純粋に”愛されているか、と言う事ではないかと考えています。きっと居る筈ですよ、貴方に誰も見向きしてくれなくても、ちゃんと貴方の事を見てくれる家族が。」
「家族………か。」
優は画面を見ながらこう呟き、簡単なお礼文をを送って、掲示板を後にしようとした。しかし、画面の隅に見慣れない広告があったのが気になった。
「なにこれ?」
こう思った優がその広告をクリックすると、画面は掲示板から何かの特設サイトと思われる場所に変わった。
「オンラインゲームのサイト?」
優はこう呟き、サイトの中をしばらく彷徨った。ある場所にたどり着いた時、彼女はある説明文に目を奪われた。
「勝ち上がれば、夢が叶う?」
彼女自身、ちゃんとバカバカしいと判断した。だが、なぜかその文章からは、本当の事を書いているとしか思えない説得力が感じられた。
「もしかして、あの子も?」
文章から不穏な気配を感じ取った彼女の脳裏には、ある一人の人物の事が思い浮かんだ。夏休みの前より、奇行と言う程ではないが不自然な行動が増えた彼、もしかしたらこれに巻き込まれているのではないか、と。
「とにかく、調べてみましょう。」
優は自分もこのゲームに参加し、これが一体何なのかと言う事を調べる事にした。画面に書かれた説明の通り、必要な情報を打ち込む。そしてそれを送信した結果、暫くしてから優は行方不明となった。
その数日後、綾小路源は神司部のメンバーと恵、現場の近くにある学校に通っている博明を伴って、事件の起こる現場で有る聖獣の森へとやって来ていた。人間の暮らす世界と、聖獣の暮らす世界を繋ぐ門を潜ると、そこには凄惨な光景が広がっていた。大地は悉く蹂躙されて、木は倒れて花は枯れている。彼らが初めてこの地を訪れた時の、美しい景色はどこにも残っていなかった。
「これは?」
源、直樹、薫、博明は周りの光景を見てこう言い、
「酷い。」
優と彩妃も、同じく周りを見てこう呟いた。恵の方も、周囲を見回しつつも、景色には触れずにこう言った。
「それより、早くこの森のどこかで必死に戦っている聖獣たちと合流しましょう。」
「まあ、そうだね。」
恵の言葉に、皆は揃って賛同すると、以前にもこの場所に来た事のある、源に案内されて森の中央部へ向かって行った。
木が倒れ、地面が抉れて岩がむき出しになり、歩きづらい道を歩いていくと、彼らは丘の上へとたどり着いた。そこの見晴らしは良く、中央部で起こっている事を確認できた。
「どこの誰が居るのかはよく分からないけど、確かに大変な事になっている。」
丘の上から状況を見た直樹は、こう言った。中央部、植物族を始めとするも、昆虫族を除く聖獣たちが暮らす、聖獣の森居住区では、様々な姿の兵士聖獣と、人間たちが連れてきたのだろう、見た事のない聖獣たちが戦っていた。聖獣の森の兵士達は強者ばかりなので、敵を寄せ付けない戦い方をしているものの、敵兵士はとにかく沢山おり、皆無尽蔵の体力を持つのか、怯むことも倒れたままになる事も無く、聖獣の森の兵士に襲い掛かっていた。
「さてと、どうする? 先にアイツらに加勢するのか、それとも最初に植物女皇に合流する?」
源が皆にこう言うと、状況を見た江美は、こう言った。
「どちらか一つを選ぶ時間が勿体ない、だから、両方を同時進行にしましょう。」
「両方を?」
江美の提案に、皆が疑問符を浮かべると、江美は説明した。
「まずは、源と一緒に植物女皇に合流する組、ここは彼も含めて三人でね。後は前線で戦っている皆の援護を。」
彼女の説明を皆が理解した後、江美は訊いた。源と行動を共にしたい者は居るか、と。すると、他でも無い源本人が、二人の人物を指名した。
「直樹、薫、一緒に来てくれる?」
「? 良いけど?」
源の申し出に、指名された直樹、薫は驚きつつも承諾した。
「それじゃあ、私たちはあっちの援護を。」
その後、江美が残ったメンバー、彩妃、恵、博明にこう言うと、彩妃は一言で了承したが、恵と博明は、
「三人で大丈夫かな?」
恵はこう呟き、
「え? 俺男子一人で女子の中へ?」
博明はどこか不服そうな態度を取っていたが、特に反対意見を述べる事も無かった。なので、源と直樹、薫はレイラに案内されて植物女皇と合流しに、江美と彩妃、恵と博明は、前線で戦う聖獣たちへの援護へと向かって行った。
「さぁ貴女達! 我らRAGNAROKの目的の為にキリキリ働く!!」
一方、聖獣の森の中央部に聳える大樹、その近くに前線基地を設けている侵略軍の拠点では、赤いドレスのような装束に身を包み、背中に真紅の翼が生えた女性「朱雀姫リジェス・メルトダウン」通称メリジェーンが部下達に命令していた。彼女の部下を務めるのは、緑色の肌で覆われたトカゲのような姿の妖精、西欧に置いて「グレムリン」の名前で知られている聖獣たちである。彼らは機械に悪戯をする事で有名な妖精であるが、その理由は人間が感謝の心を忘れたからと言われており、時と場合によっては墜落しそうな飛行機を助ける事もある。
そんな彼らを統括している、肩まで伸びた金髪と抜群のスタイルと、それを強調する白い服装が特徴の女性。人間のような見た目を持つ聖獣「巨人族」の中でも、獣に変身する獣人と呼ばれる存在の彼女「エリス」は、リジェスにこう訊いた。
「しかし、人間をこの場所に連れてくる必要はあったのですか?」
「あら? 何が言いたいのかしら?」
リジェスが問いに返すと、エリスはこう言った。
「確かに人間があちらの作戦指揮についてくれたおかげで、こちらの面子の殆どはこちら側に回ってくれました。ですが、必要最低限の戦いは人間たちに付けた聖獣にだって出来ます。むしろ、彼らにとっては人間と戦わされることが、何よりも不満なようで……」
エリスのこの言葉で、リジェスは彼女の言いたいことをある程度理解したのだろう、彼女の言葉を遮り、こう言った。
「別に良いのよ。どの道聖獣の森は終わりだけど、滅ぼすのは私たちではないのだから。」
「?」
リジェスの言葉に、エリスが疑問符を浮かべると、リジェスは彼女にこう言った。
「聖獣の森を拠点にしているのは、植物族の聖獣だけではないわ。」
「それは………まさか?!」
リジェスの言葉を訊き、エリスは思わずはっとした。先ほどから、耳に不愉快な音が響いていたのだが、その正体がようやく分かったのだ。
「荒れるわ……」
エリスがこう呟いた瞬間である。今度は別な場所から大きな音が響いてきた。
「何事?」
「大変です!! 最前線と、聖獣の森中央の木の前に神司が現れました!! 我々が集めた者達ではないとの事です。」
エリスが部下のグレムリン達に訊き、状況をいち早く把握したグレムリンの一人が報告すると、リジェスはこう言った。
「あらあら、飛び入り参加が居るみたいね。エリスちゃーん、木の前の方をやっつけて来て~!!」
「はぁ、分かりました。」
リジェスの申し出に、エリスはこう言うと、武器の大剣と拳銃を持って現場へ向かって行った。
そして、その場に残って前線で戦う聖獣の援護を行う事になった四人はと言うと、
「ファイアーボール!!」
江美の召喚した亀のような姿の大柄な獣族聖獣「アーケロンド」は、口から火球を発射して、数体の敵聖獣を撃退し、
「パッション!!」
彩妃の召喚した背中に大きな白い翼を持つヴァルキリーの妖精族聖獣「イスフィール」は、手を叩いて発生させた熱波で何体かの敵聖獣を吹っ飛ばし、
「アクアセイバー!!」
博明の召喚した、巨大なネプチューンオオカブトの姿の昆虫族聖獣「ネプチューン」は、大きな角に水を纏わせて強化すると、水圧で敵を切り裂き、
「ハウリング・ブリザード!!」
恵の召喚した、白銀の大きな狼の姿の獣族聖獣「アングルボザ」は、吼えると同時に口から冷気を放ち、敵を吹き飛ばした。
四人と四体の加勢があった事で、今まで押されていた聖獣の森の勢力は、徐々に戦線を押し上げ始めた。
「戦線も前に出始めた。後は、頭が落ちるのを何とかすれば、ここは大丈夫!」
様子を見ている江美は、調子が良いので皆の士気を高める為こう言ったが、彩妃はなぜか不安そうな顔をしていた。イスフィールも、どこか違和感を覚えるような表情を浮かべている。
「? どうしたの?」
そんな二人を不思議に思ったのか、江美がこう声を掛けると、彩妃はこう言った。
「何かね、さっきから変な音がするの。何ていうかな、とっても重い物薄い羽で無理やり飛んでるような。」
「重い物が無理やり飛んでいる?」
彩妃の言葉を江美が復唱すると、恵と一緒に戦うアングルボザが二人に言った。
「ああ、その音なら私も聞いている。ギチギチと言う奴であろう。」
「そう、それ。」
女子同士で会話が進む中、博明とネプチューンはと言うと、
「さっさとここを片付けて、先に言った面子とも合流しないとな。」
博明は張り切っていたが、ネプチューンの方は一抹の不安を覚えていた。
(さっきから響いてくるこの羽音、間違えなく奴らだ。出来れば、奴らと出会う前に蹴りを付けたいが。)
ネプチューンはこう思うと、角を振りかざして敵の群れへと飛び込んでいった。
江美たち四人が戦う中、植物女皇と合流すべく、レイラに先導されていた源、直樹、薫の三人は、リジェスに言いつけられ敵の迎撃に向かった、エリスと鉢合わせていた。
「あ、こいつは?!」
「知ってるの?」
エリスの姿を見た源は思わず声を上げ、同行する薫、直樹、レイラが源に訊くと、エリスは背中の大剣に手を掛けて身構えた。
「いや、全然知らない。」
しかし、次の瞬間放たれた源の一言によって、皆は緊張の糸を派手にちぎられ、思わずずっこけた。
「ギャグ?」
薫、直樹、レイラは源にこう訊き、
「巫山戯てるの?」
同じくずっこけたエリスは、源に対しこう言った。彼女は以前、京都の清水寺で源と出会い、少しの間であるが交戦した経験がある。彼女自身戦士でもある為、一度とは交戦したはずなのに、忘れられていると言う事に我慢がいかないのだろう。言葉にはどこか怒りが籠っていた。
「さてと、冗談はこれくらいにしてと。」
その事を感じ取った為、源はこう言うと、改めてこう言った。
「アンタがここに居ると言う事は、やっぱりアンタたちが一枚噛んでいるんですね。今度は何が目的?」
この問いに、エリスは指を唇に当て、こう答えた。
「答えると思う?」
「ですよね~。」
エリスの答えに、源はこう言って聖装を構えた。そして、自らの聖獣を召喚しようとした、まさにその時である。
「ここは俺たちが。」
「源はこのまま進んで。片付いたら後を追うから。」
直樹、薫が前に出て、それぞれが相棒としている聖獣を召喚した。
「戦いは爆発の勢いだ!フレアノドン、燃え上がれ!!」
「フレアノドン、行く!」
直樹がハンマーを取り出し、地面に置いたカードを、スタンプを押す要領で叩くと、地面から火柱が上がり、中から炎に包まれた翼竜、恐竜族聖獣の「フレアノドン」が姿を現した。
「白亜の竜の対抗者、組み上がって具現せよ!今こそ、出陣の時!」
「ギュオンズ、機動!!」
続けて薫が、どこからともなく取り出したブレードに付いたスキャナーにカードを通すと、周囲から金属片が次々と集まり、それが一つとなって、腕と脚が短い、白色の怪獣を思わせる姿の機械族聖獣「ギュオンズ」となった。
「二人だけで大丈夫?」
源は一応と言う事で、二人にこう訊いた。自分は一度エリスと交戦しているが、直樹と薫にとっては彼女との出会いも、交戦も今日が初めてである。
「問題ないよ。」
「速く行け。」
源の問いに、薫、直樹はこう言うと、自らの聖獣に指示を出した。
「奴を食い止めろ!!」
この一言と共に、フレアノドン、ギュオンズは同時に飛び出すと、フレアノドンは鋭いくちばしで突き、ギュオンズは金属製の腕で殴りつける攻撃を、エリスに繰り出した。エリスがこの攻撃を背中の大剣で受け止めると、
「危なくなったら逃げるように!!」
源はこう言って、レイラと共にエリス達の横を通り抜け、聖獣の森の中央部へと向かって行った。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
エリスは横を見てこう言ったが、
「お前がこっちを見ろ!!」
「先には、行かせない!」
フレアノドン、ギュオンズはこう言って、エリスをその場に押さえつけた。
源とレイラが直樹、薫と別れて移動を始めて数分、二人は目的地である聖獣の森中央の大樹へとたどり着いた。そこは非戦闘聖獣の避難所となっており、中には数多くの聖獣たちが居た。源とレイラはそこを通り抜けると、最上部にあるラフレシアの部屋へとやって来た。
「ラフレシア様!!」
レイラが部屋の中に飛び込み、それに源が続いた。部屋の中では、植物女皇ラフレシアが、愛刀を構えていた。戦闘中で有る為、いつでも戦えるようにしているのだろう。
「レイラ? 無事だったのか?」
ラフレシアは最初に、レイラの姿を見てこう言うと、続いて源の姿を確認し、こう言った。
「レイラが無事と言う事は、お前たちが彼女を助けたのだな。いつもであれば、ちゃんと礼をしたいのだが、今回ばかりは………」
「? アンタがレイラに助けを呼んだんじゃないの?」
ラフレシアの言葉に、源がこう訊くと、ラフレシアは説明した。
「実はな、レイラを逃がした瞬間に気が付いたんだ。今回の騒ぎの真の目的を。」
この言葉、特に最後の言葉に、源とレイラ、源の聖獣たちが疑問符を浮かべると、ラフレシアは源達に言った。
「お前達、以前私が入ってはいけないと言った場所に入って、そこで昆虫族の聖獣と出くわした事があっただろう。」
「それは、まあ。」
ラフレシアの言葉に、夏休みの終わりのころにあった事件を思い出し、源がこう言うと、レイラは何かを思い出した顔をすると、思い出した事がロクでも無い事だったためか、思わず青ざめた。
「聖獣の森は確かに私の管轄だ。だが、それは半分だけであり、もう半分は違う皇の管轄だ。そこの皇は、実力こそあるがとても排他的な性格でな、レイラも昔そこに迷い込んで、トラウマになる程の目に遭わされた。」
ラフレシアがここまで説明すると、源はこれまでに得た情報を整理した。
(昆虫族、排他的な皇様に、レイラにトラウマを与える程の聖獣?)
源は色々と考えた末に、ある結論に至った。
「それじゃあつまり。」
源がこう言った瞬間である、突如ギチギチと言う、硬い体を持つ何かが動き回るような音が響いてきた。
「この音は?」
音を聞いた源がこう言うと、
「イヤァァァ!!」
ラフレシアの言うトラウマがよみがえったのか、レイラが悲鳴を上げ、
「もう来たのか?!」
ラフレシアは音のする方向を見ながら、こう言った。
一方、前線で味方の援護をしていた江美、彩妃、恵、博明も、ギチギチと言う音を聞いていた。
「な、何この音?」
江美が驚くと、博明はこう言った。
「まさかこの音は?」
「ああそうだ、寄りにもよって一番来て欲しくない奴らが!!」
博明の言葉に、ネプチューンが近くに居た敵を投げ飛ばしこう言うと、彩妃はある方向を指差し、こう言った。
「ねえ、見てあれ! 何か来る!!」
彩妃の言葉に、皆がその方向を見た時、皆は驚いた。
「あ、あれは、まさか?」
「き、気持ち、悪い……」
ギチギチと言う音と共に迫る敵、その姿を見た江美は驚き、恵はその姿に嫌悪感を覚えていた。
一方その頃、エリスと直樹、薫が戦っている場所では、
「はぁぁぁ!!」
エリスが大剣で攻撃を仕掛け、追撃や牽制の為に隠し持っていた銃を放つと、空中を飛翔するフレアノドンが火球で反撃し、ギュオンズが硬い体で攻撃を受け止め、金属の腕に込められた強力で攻撃を仕掛けていた。
「つ、強い。ここは聖獣の森である以上、聖獣は等しくパワーアップするのか。」
エリスがこう言うと、フレアノドン、ギュオンズは神司の近くに戻り、息を切らしながらこう言った。
「よく言うよ、全然本気を出していない癖に。」
フレアノドンのこの言葉に、エリスはこう言った。
「今からもっと厳しい戦いになりかねない。故にね。」
「厳しい戦い?」
エリスの言葉に、皆が疑問を覚えた瞬間である。聖獣の森全体に響く、ギチギチと言う音が聞こえてきた。
「この音は?」
直樹、薫が音のする方向を見た瞬間、二人は驚いた。姿、形は様々な昆虫族聖獣が、聖獣の森へと向かってきていたのだから。




