第78話『白き道、旅立ちの準備と凍てつく前哨』
朝、薄く雪が舞う路地を抜けて、俺たちは集合場所である北門前に集まっていた。
「うわ、さっむ!なにこの気温!」
「これから向かうのは“氷壁の洞窟”だもの。今から寒さに文句言ってたら死ぬわよ」
エリュが冷静に言い放ち、ウケールは「ひぃ〜」と情けない声を出す。
「……でも、ほんとに寒いよね。ヨシオ、ほら」
俺の隣で、リリィが俺のマントの裾をつまんで、くっついてくる。
「……それ、俺の防寒効果を勝手にシェアするな」
「けちー。でもあったかいんだもん、ヨシオの隣」
俺はため息をつきつつも、少しだけ肩を貸してやった。
その様子を見て、ウケールがニヤニヤと俺たちの周囲を回る。
「……なに見てんだよ」
「いえいえ、カップル冷凍保存中かなーって」
「凍らせてやろうか」
エリュが無表情でウケールの背中に氷の針を突き立てそうになる。
「冗談でぇええす!!」
【旅支度と出発】
道具屋の前で最後の補給を済ませ、馬車に荷物を積み込む。
「氷壁の洞窟までは三日ってとこか」
俺は地図を確認しつつ呟いた。
「道中に温泉とかあればいいのに」
リリィが期待に満ちた目を輝かせるが、現実はそんなに甘くない。
「凍結地帯に温泉はないわ。あっても凍ってる」
「夢を壊すなぁ〜」
エリュは馬車の手綱を取って先導に立ち、俺は後衛を確認。ウケールは荷物とたわむれながら、なぜかスカーフにまた変な模様を描いていた。
「今回の旅のお守りだ!“絶対に死なない印”!」
「そんな印あったらとっくに国宝にしてるわよ」
---
馬車ががたんがたんと揺れる中、俺はリリィの隣に座っていた。
雪景色が流れていく車窓の向こう、淡い光に染まる道。
「ねえ、ヨシオ。……あたしさ、昔はこんな旅ができるなんて思ってなかった」
「……過去の話か?」
「うん。……あたし、ずっと“利用される側”だったから」
俺は何も言わなかった。リリィの言葉の続きだけを、静かに待った。
「でも、今は違う。……ちゃんと、仲間として見てくれる。……あなたがいてくれる」
「……そっか。なら――よかったな」
そう答えると、リリィは微笑みながら俺の手をそっと握ってきた。
少しだけ、ぎゅっと。
「うん。……すごく」
風が少し強く吹いたが、マントの中に包まれた空気はあたたかかった。
【雪原の異変】
その日の夕刻。氷原に差しかかった俺たちは、遠くに妙な残光を目にした。
「……あれは?」
「……魔力痕だ。しかも、爆発系。氷壁の洞窟の前哨区域だな」
エリュが双眼鏡を覗きながら言う。
「誰かが戦ってるのか?」
「か、もしくは罠を張ったあとかもな」
「よし、予定より早いが、あの地点をまずは調査だ」
俺たちは荷車を止め、武具を確認しながら雪原へと進んだ。
白い世界の向こうで、また新たな冒険が待っている。
そして、その向こうには――まだ知らぬ何かがある。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
あと、感想も書いてくれるととても嬉しいです!




