第77話『ギルドの午後、少しだけ騒がしい日常』
「――というわけで、俺たちは無事、北方廃墟での任務を完了した」
ギルドの報告台の前。俺は受付嬢のレーネにそう告げ、クエスト報告書を手渡した。
「……まさか本当に“魔導支柱”を二基とも破壊してくるなんて。あれ、下手すれば国家レベルの依頼でも断られるような難度だったのに……」
「うちのヨシオ様がやれば、そりゃ当然よ♪」
リリィが得意げに胸を張る。
俺はそれを無言でスルーした。
「俺たちも頑張ったぞ!」ウケールが自慢げに、焦げたマントを見せつけてくる。
「このスカーフ、火だるまになったけどな!ギャグじゃなくて本当に燃えたから!」
「ギャグじゃないなら、二度と無茶な囮はやめてください」
エリュが冷ややかな目でツッコむ。
俺は苦笑しながら椅子に腰掛け、やっと一息ついた。
【報酬とちょっとした騒動】
「で、今回の報酬なんだけどね――」
レーネが渋い顔で書類をめくる。
「魔導兵器破壊の件で、王都の技術省から正式な依頼に格上げされました。だから、追加報酬も後日出るって!」
「おおっ!?マジか!ヨシオ、俺たちリッチだぜ!」
ウケールが飛び跳ねる。だが、その勢いで背後のイスに頭をぶつけて転倒。
「うぎゃああっ!!」
「うるさいよウケール。頭から火花出てたよ今」
リリィとエリュの冷淡なツッコミが飛ぶ中、俺はふとレーネの手元にある紙に目をとめた。
「それ、次の依頼か?」
「あ、うん。ちょうどあなたたちにぴったりかと思って取っておいたのよ」
差し出された依頼用紙にはこう書かれていた。
> ■依頼名:『氷壁の洞窟、狡猾な魔獣』
■依頼主:王国北辺境防衛隊
■報酬:12,000リル+特別装備品
■内容:氷壁の洞窟にて出没する新種魔獣の調査および排除
「……また、寒そうな場所だな」
「まさに今の季節、一番行きたくないところね……」
リリィが顔をしかめた。が、それでも俺たちはもう一度顔を見合わせる。
「行こうか」
「任務は任務。今回は慎重に行こう」
エリュの言葉に、ウケールが元気よく拳を掲げる。
「おっけー!スカーフは燃えないやつに変えてくる!」
俺はレーネから依頼書を受け取り、深く頷いた。
【その日の夕暮れ】
ギルドのテラスで夕焼けを見ながら、リリィがふと呟いた。
「……ねえ、ヨシオ。たまにはこうして、ゆっくり話す時間もいいよね」
「そうだな。お前が騒がしくしなければな」
「えー!?ひどーいっ!」
ふわりと笑うその表情に、俺はなんとも言えない安らぎを感じた。
その瞬間、背後から声がかかる。
「やれやれ、いいムードだと思って来てみたら、またバカップル寸前じゃないか」
――エリュだった。手には何やら魔法書を抱えている。
「明日、氷壁の洞窟に出発する前に、装備の最終調整をしましょう。今夜のうちに全員、点検ね」
「あいよ。隊長殿に任せるぜ」
そして俺たちは、また次の冒険へと歩き出す。
仲間たちと。
騒がしくも愛おしい日常とともに――。
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