第74話『ギルド帰還、そして祝福の金卵』
金色のニワトリを捕まえた俺たちは、荷馬車に金卵を載せて、ゲルマン村を出た。
帰り道は、思いのほか静かだった。
「……ヨシオ」
リリィが俺の隣に並び、小声で話しかけてきた。
「この卵、すごく……あったかいね。まるで生きてるみたい」
「まぁ、実際ほぼ魔獣だしな。あのニワトリ、たぶん普通の“家禽”じゃねえよ……」
「たしかに。魔法反応は中級級だったし、繁殖条件も特殊だった」
エリュがいつものように冷静に分析をはさむ。
「ふふん!だが俺の“幻影鳥籠”がなければどうなっていたことかッ……!」
「え、あれ完全に外してたじゃん」
「やめろヨシオ、それ以上言うと俺が夜眠れなくなる」
「おまえの神経の太さなら大丈夫だろ」
そう、こんな他愛もない会話。
だけど俺にとっては、これこそが――仲間だ。
心からそう思った。
そして数時間後――
ギルドの受付嬢ナタリーが、目を丸くして俺たちを迎えた。
「本当に捕まえてきたのね……金のニワトリなんて、誰かの冗談かと思ってたけど……!」
「失礼な話だな。俺の手柄を信じなかったとは!」
「ウケールの手柄だっけ?」
「……くっ」
報告書を提出し、俺たちは無事に報酬を受け取った。なんと金貨40枚、さらにギルドランクもひとつ昇格。
「これで君たちも《Cランクパーティ》ね。おめでとう!」
「やったな!」
俺は仲間たちと拳を合わせた。ウケールもエリュも、そしてリリィも、小さく微笑んでいた。
その夜。
ギルド宿の食堂。祝いの乾杯が終わって、一段落した頃。
「……ヨシオ。ちょっと、外……散歩しない?」
リリィがそっと声をかけてきた。
「……ああ。行こう」
星空の下、ギルド裏の小道を歩きながら、リリィはふと足を止めた。
「ねぇ、今日のこと……本当に、ありがとう」
「改まってどうした?」
「あなたと出会ってから、いろんなものが変わった気がするの。自分の魔法に自信を持てるようになったし、戦う理由も……見えてきた」
「それは……」
リリィは、照れたように目を伏せて――
「ヨシオがいるから、私……怖くないよ」
……胸が、熱くなる。
俺も思わず、リリィの肩に手を伸ばしかけ――
「おおおぉぉぉおおおい!!!!」
――ぶち壊された。
振り返ると、ギルド宿の窓からウケールが顔を出していた。
「おいヨシオ!!金卵の半分、夜食にしていいか!?」
「てめえ今じゃねえよ!!」
「……もう」
リリィが笑いをこらえながら、俺の手をぎゅっと握った。
「……じゃあ、また後でね」
……ああ、ほんとに。
このパーティ、うるさくて、やかましくて、でも――最高だ。
そして翌朝。
ギルドの依頼板に、一枚の新しいクエストが貼られていた。
【至急:北方廃墟にて“魔導兵器の暴走”が発生中。止められる者、求む】
「……なんかヤバそうな匂いがするな」
「けど、楽しそうじゃない?」
リリィが肩を並べて、俺を見上げた。
「よし。じゃあ、行くか。次の冒険へ!」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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