第53話『商人は見た!ギルドに舞い込む不思議な依頼』
──翌朝・ギルド本部──
朝の光が差し込むギルド大広間。昨夜の宴の余韻を残したまま、俺たちはゴロゴロと寝袋の中で目を覚ました。
「お、おい……だれだ、俺の足に抱きついてるの……」
「ん〜……ヨシオ……ぬくい……」
リリィだった。
「お、おう……」
眠そうに擦り寄ってくる彼女をそっと寝袋に戻して、俺はソファに向かう。エリュは既に紅茶を淹れていて、ウケールは──まだ寝袋の中で合唱していた。
「……『絶対無敵ウケールマン』ってなんだよ……夢の中でも歌ってるのか」
──そこへ、ギルドの扉がバンッと勢いよく開く。
「失礼しますっ! あ、あの!大変なんです!」
現れたのは、見習いの若い商人風の男だった。服はほこりまみれで、荷物は散乱している。
「落ち着け、何があった?」
「で、出たんです……。あの、森の奥に……光る遺跡が……っ!」
俺たち一同、一気に目が覚める。
「光る……遺跡?」
エリュが紅茶を置いて立ち上がる。
「それって、もしかして……未登録の魔法遺跡?」
「たぶんそうです!でも中に入ろうとした仲間が──全員、笑いながら帰ってきて……!『たのしかった〜〜』って言って……!怖いくらい明るいんです!」
俺は腕を組んだ。
「……なんか、嫌な予感しかしねぇな」
「ま、まさか、ギャグの気配……!?」
「いや!俺は今日、ギャグ控えめでいくって決めたんだ!」
「ヨシオが真面目!?新しい病気かも!」
「うるせぇ!!」
商人は俺たちの様子に戸惑いながらも、震えた声で続けた。
「その遺跡……“笑いの迷宮”って呼ばれていて、昔から伝説があるんです。中に入った者は、“本当に楽しいこと”を知らなければ、正気で帰れないって……!」
「なるほど……」
ウケールがようやく寝袋から這い出してきた。
「つまり俺の出番か」
「いや、ウケールの“楽しい”って基準がよく分からないからな!?あれを正解にしていいのか!?」
リリィがもぞもぞと寝袋から出てきて、俺の隣にちょこんと座る。
「……行くの?ヨシオ」
「うん。誰かが“笑い”に操られてるなら、ちゃんと助けてやらなきゃな」
「じゃあ……私も一緒に行く。今度はヨシオが変な魔法にかからないように、ずっとそばにいる」
リリィのまっすぐな瞳に、俺は思わず目をそらす。
「……ありがとな」
エリュとウケールも頷いた。
「よし、ギルド代表として受けよう。この“笑いの迷宮”、我々で調査してやろうじゃないか」
「ただし、今回は“ギャグ控えめ”でいくぞ」
「そこ、強調する必要ある!?」
こうして俺たちは、新たな依頼──“笑いの迷宮”の調査へと旅立つことになった。
仲間とともに、笑いと真実の境界へ──
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