第43話『神域の決戦、心を繋ぐ魔法』
目の前の巨大な光の獣――まるで星々の意志が具現化したような存在が、咆哮とともに広間を揺るがす。
「うっわ……でっけえし、まぶしっ!」
俺は思わず目を細めた。だが、逃げるわけにはいかない。ここが、最終試練だ。
「気を抜くな、あれは幻影じゃない……本物よ!」
エリュが鋭く叫ぶと同時に、手にしていた杖がまばゆい光を放つ。
「――【聖封結界】!」
エリュの詠唱に応じ、透明な壁が俺たちの前に展開される。その直後、光の獣の一撃が降り注いだ。
ドォン!!
衝撃が広間を包む。壁が軋みながらも、ぎりぎりで耐えた。
「ヨシオ! やるしかないわよ!」
リリィが俺の肩を叩く。俺は頷き、意識を集中させた。
(あのとき覚えた魔法……今こそ使う時だ!)
「――魔法発動!【焔雷裂光刃】!!」
俺の掌から赤青金の三色の魔力が螺旋を描いて迸り、刃となって光の獣へと突き刺さる。
ギィィィン!!
鋭い悲鳴を上げて、光の獣が後退した。
「よっしゃ、効いてる!」
「ボクも続くぜ!」
ウケールが叫ぶと同時に、両手から矢のような魔力を放つ。
「【絶唱連矢】!」
音のような連続魔弾が獣を襲い、次々と爆ぜる。
エリュ、リリィ、ウケール――それぞれが全力で戦う姿を見て、俺の胸に何かが込み上げた。
(こいつらと、ここまで来たんだ)
光の獣が再び突進してくる。その巨体が振り上げた爪は、今度こそ避けられない!
「ヨシオーッ!!」
リリィが飛び込んできて、俺を突き飛ばした。間一髪、俺たちは地に転がる。
「いっててて……リリィ、大丈夫か!」
「うん! へへっ、ちょっとだけ危なかったけど、私のプリティボディは無事だよっ!」
その明るい声に思わず笑う。そして、立ち上がった俺たちを見て、エリュが呟く。
「……心が、繋がってる」
その言葉と同時に、水晶柱が輝き、空間の魔法陣が激しく震え出した。
「今よ! 全員の魔力を、合わせて!!」
「了解ッ!!」
俺は手を突き出し、仲間もそれぞれの力を重ねる。
「【四心一魂・終結魔法陣】!!」
四人の魔力が一つになり、巨大な剣の形を成して、光の獣へと解き放たれた。
――ズバァァァァァァァァン!!!!
光の獣が断末魔の咆哮とともに、霧散した。
静寂が訪れる。
「……やった、のか?」
誰かが呟くと同時に、水晶柱がゆっくりと回転を始める。その中心から、一本の巻物が現れた。
「これは……」
俺がそれに手を伸ばした瞬間、優しい声が響いた。
『勇者たちよ、汝らの心、確かに見届けた。これより、真なる世界の扉を開こう』
そして、足元の大地が淡く光り出す。
「よっしゃあああ! これで俺たち、合格ってわけだな!」
ウケールがガッツポーズを決める。リリィもぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。
エリュは微笑みながら、俺の肩を叩いた。
「あなた、よくやったわ。……ちょっと見直した」
「いや、そんな、照れるなあ……」
「……でも、私の部屋で勝手にバナナ食べたことは、後で話し合いましょうね?」
「なんで知ってんの!?」
そんな感じで、俺たちはついに“最後の試練”を乗り越えた。
だが、神殿の奥にある“扉”の先――まだ、誰も見たことのない“真なる世界”が待っている。
それが、何を意味するのかは分からない。
だけど今なら、どんな運命だって、仲間となら乗り越えられる。
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