第35話『笑劇塔の裏側、静寂なる記憶の間』
──第99階層の激闘から一夜明け──
ヨシオ「……なんか疲れたな」
リリィ「うん、いろんな意味でね……。ていうか、もうギャグじゃなくて普通のクエストにしたい」
エリュ「笑い疲れってあるんだね……。ウケールも寝てるし」
──最上階への階段を前に、一行は“選択の間”に立たされていた──
案内機械《次が最終階層:爆笑の王戦ですが、挑まない選択も可能です》
ヨシオ「……なんだこの選択肢。しかも本当に“挑まない”ってボタンがある……?」
リリィ「押そう。私は押すよ。ってか押した!」
ヨシオ「早っ!? じゃあ、俺も……」
──ボタンを押すと、突然床がせり下がり、彼らは別の空間に移動した──
【裏階層:静寂なる記憶の間】
──そこは真っ白な空間だった。空気は澄み、遠くで風鈴のような音が鳴る──
謎の声「……記憶を辿りし者よ。お前の本当の力は、笑いではない」
ヨシオ「……誰だ?」
──光の中から現れたのは、初老の魔導士だった──
老人「我が名はジゼル・フェーン。転生の門を見届ける者だ」
リリィ「え、なんか急に真面目な世界観……」
ジゼル「そなたの魂は、“観察者”の資質を持つ。すなわち世界の理を知り、選び取る力──」
ヨシオ「……笑いの才能じゃなかったんだ……」
ジゼル「それは“仮の力”にすぎん。本来そなたは“原初の記憶”に通じる者。試練を超えた今、その力を解放する資格がある」
──ジゼルがかざした杖から、光の輪が広がる──
《スキル獲得:記憶解放》 《スキル獲得:観測魔法〈リフレクト・アーカイブ〉》
リリィ「……観測魔法って、敵の未来とか見えるやつ?」
ヨシオ「いや……もっと深い。これは“過去の記憶”に干渉して、真実を明らかにする力だ」
ジゼル「……そして“笑劇塔”とは、世界を包む幻の象徴。今、そなたらはその“影”を破った」
エリュ「まさか、あれ全部伏線だったってこと!?」
──そして光が消えると同時に、一行は塔の外へ転送されていた──
【都市郊外・樹海のほとり】
リリィ「……はあ。戻ってこれた。もう笑いはしばらくいいかな」
ウケール「わたしはまだ眠いぞ……ぐぅ」
エリュ「……さて、次の目的地は?」
ヨシオ「……“真の転生の門”を探そう。俺の力が本物なら、きっと案内してくれる」
──旅は再び動き出す。だが今回は、笑いではなく“記憶と真実”の物語が始まろうとしていた──
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