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『転生したら村人Cだったのに、なんで俺が世界救ってんだよ』  作者: 甲斐悠人
本編

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25/155

第25話『笑いと涙と、ぬいぐるみ味』

──カオス劇場、最終幕──


舞台の中央に立つ少女ルルは、淡々と、しかしどこか懐かしげな声で呟いた。


ルル「クマのぬいぐるみ……味、分かる?」


観客席が静まり返る。


そして──


ヨシオ「いや、ぬいぐるみって! 食べ物じゃねえから!!」


\ドッ!!/


観客席が爆発した。


──が、その直後。


ルルの目から、涙がこぼれた。


リリィ「……えっ……な、なんで泣いて……?」


エリュ「……感じるわ。“この子の笑い”は、心の奥底に触れる何かを持ってる」


ルル「……わたし……笑ってほしかっただけなの。 誰かに……この世界のどこかに、わたしの“ズレたギャグ”が届く場所があるって、信じたかったの」


ヨシオ「……」


ルル「ボケ続けてきた。誰もツッコんでくれなくても……ずっと……でも──」


ヨシオは静かに舞台へ上がり、ルルの目の前に立つ。


そして、そっと手を伸ばして、彼女の頭をわしゃわしゃと撫でた。


ヨシオ「……うん。たしかにズレてる。でもな、お前の“ぬいぐるみ味”……俺、ちょっと気になったぞ」


ルル「……え?」


ヨシオ「笑いってのは、正解が一個じゃねぇ。むしろ、誰も分からない笑いほど、深ぇ味わいがある」


ルルの頬に、うっすらと笑みが灯る。


ヨシオ「ようこそ。“異世界ボケ連盟”へ」


\ドカーーーーーン!!/


観客席全体から、割れんばかりの拍手が起こった。


ジルマンド「……ヨシオよ……貴様……貴様ァァァ!! その一言で!! ワシの10年越しの演出が台無しじゃぁぁぁあ!!」


リリィ「いたの!? まだいたの!?」


エリュ「今の完全に感動ラストだったのに……!」


ジルマンドは舞台の上で倒れ伏す。


ジルマンド「敗北……敗北じゃ……わしのツッコミ人生……完敗じゃぁ……」


ヨシオ「演出のオチも自分でつけんな! ちゃんとこっちに振ってくれよ!」


\キャーーーーッ!!/


観客たちの拍手と歓声は止まない。


そして、ルルはそっと舞台袖へと歩き、最後にこう言った。


ルル「ありがとう……ボケに救われたの、初めて」


その瞬間、カオス劇場の空が一閃の光に包まれた。


■「最終試練・突破」──!


次元の壁が揺らぎ、舞台の奥に浮かび上がる転移ゲート。


ヨシオ「よし、じゃあ──次、行くか」


リリィ「うん。……でも、あたし、ちょっと“ぬいぐるみ味”が気になってきた」


エリュ「やめときなさい。胃が壊れるわよ」


◆


──そして。


転移先の空間で待ち受けるのは、新たな敵か、新たな味か──

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