第25話『笑いと涙と、ぬいぐるみ味』
──カオス劇場、最終幕──
舞台の中央に立つ少女ルルは、淡々と、しかしどこか懐かしげな声で呟いた。
ルル「クマのぬいぐるみ……味、分かる?」
観客席が静まり返る。
そして──
ヨシオ「いや、ぬいぐるみって! 食べ物じゃねえから!!」
\ドッ!!/
観客席が爆発した。
──が、その直後。
ルルの目から、涙がこぼれた。
リリィ「……えっ……な、なんで泣いて……?」
エリュ「……感じるわ。“この子の笑い”は、心の奥底に触れる何かを持ってる」
ルル「……わたし……笑ってほしかっただけなの。 誰かに……この世界のどこかに、わたしの“ズレたギャグ”が届く場所があるって、信じたかったの」
ヨシオ「……」
ルル「ボケ続けてきた。誰もツッコんでくれなくても……ずっと……でも──」
ヨシオは静かに舞台へ上がり、ルルの目の前に立つ。
そして、そっと手を伸ばして、彼女の頭をわしゃわしゃと撫でた。
ヨシオ「……うん。たしかにズレてる。でもな、お前の“ぬいぐるみ味”……俺、ちょっと気になったぞ」
ルル「……え?」
ヨシオ「笑いってのは、正解が一個じゃねぇ。むしろ、誰も分からない笑いほど、深ぇ味わいがある」
ルルの頬に、うっすらと笑みが灯る。
ヨシオ「ようこそ。“異世界ボケ連盟”へ」
\ドカーーーーーン!!/
観客席全体から、割れんばかりの拍手が起こった。
ジルマンド「……ヨシオよ……貴様……貴様ァァァ!! その一言で!! ワシの10年越しの演出が台無しじゃぁぁぁあ!!」
リリィ「いたの!? まだいたの!?」
エリュ「今の完全に感動ラストだったのに……!」
ジルマンドは舞台の上で倒れ伏す。
ジルマンド「敗北……敗北じゃ……わしのツッコミ人生……完敗じゃぁ……」
ヨシオ「演出のオチも自分でつけんな! ちゃんとこっちに振ってくれよ!」
\キャーーーーッ!!/
観客たちの拍手と歓声は止まない。
そして、ルルはそっと舞台袖へと歩き、最後にこう言った。
ルル「ありがとう……ボケに救われたの、初めて」
その瞬間、カオス劇場の空が一閃の光に包まれた。
■「最終試練・突破」──!
次元の壁が揺らぎ、舞台の奥に浮かび上がる転移ゲート。
ヨシオ「よし、じゃあ──次、行くか」
リリィ「うん。……でも、あたし、ちょっと“ぬいぐるみ味”が気になってきた」
エリュ「やめときなさい。胃が壊れるわよ」
◆
──そして。
転移先の空間で待ち受けるのは、新たな敵か、新たな味か──
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