第24話『笑劇開幕! カオス劇場と三千人のボケ役』
スベリ王を退け、谷の空気がわずかに緩んだ頃── 一行は次なる目的地へと旅立っていた。
そこは王都リーベルの東端、廃墟となった劇場都市《カオス劇場》。 かつて栄華を極め、世界中のボケとツッコミが舞台に立ち、魂をぶつけ合った聖地である。
いま、その場所に再び“笑いの波動”が集まりつつあった。
◆
──カオス劇場、正門前。
リリィ「これが……舞台都市ってやつ?」
エリュ「建物の一つひとつが劇場なの。中央には伝説の“大舞台”があるって聞いたわ」
ヨシオ「なんでそんな場所に行く必要があるんだ?」
エリュは無言で、薄く笑った。
エリュ「“次なる試練”はここにある。ギャグ勇者ヨシオの名に恥じぬ舞台、用意してあげるわ」
リリィ「フラグ臭っ!」
◆
三人が劇場中央に足を踏み入れた瞬間、空が裂けるような声が響いた。
「来たかァ……今世紀最大のボケ候補者どもッ!!」
舞台の上に立っていたのは、筋肉ムキムキの老人──“劇帝ジルマンド”。
ジルマンド「この劇場の最終公演に、お前たちを招待するッ! 名誉に思えェッ!」
ヨシオ「勝手にキャスティングすんな! つか誰だよ!?」
ジルマンド「我は三千のボケを斬り捨てし“突っ込み王”。 ここに集いし残党のボケどもと共に、最強の舞台を作り上げようぞォ!!」
\ドォォォン……!/
次の瞬間、舞台下から観客席から、地面からすらも……奇妙な格好の者たちがワラワラと湧き出てきた。
その数、およそ三千。
ヨシオ「出てくる量が地獄。全部ボケってマジでこっちの脳が死ぬわ!」
リリィ「いや待って、あの人逆さまのパンツ履いてる……」
エリュ「……“選ばれし混沌”たちよ。これは一種の祭り。喜劇という名の戦場」
◆
【カオス劇場・舞台戦開始】
ルールは簡単──三千人のボケに、完璧な“間”でツッコむだけ。 ツッコミが甘ければ観客席から“爆笑”ではなく“ブーイング”が降り注ぐ。
ヨシオ「むしろ笑ってもらえたらダメなやつ……!?」
ボケNo.1「空飛ぶサンマ〜〜ッ!」
ヨシオ「季節感どこ行った!? 秋だけにしろや!」
\ウオォォォーーッ!/
観客「今のキレいいぞォーッ!」
ボケNo.43「犬と結婚したいです!!」
ヨシオ「戸籍どうなってんだよ!? ケンカしてもワンワン言って終わるわ!」
\キャーーーッ!!/
■そして、真のボケ──
三百人目のボケをさばききった頃。 舞台が一変する。
霧のなか、現れたのはひとりの少女。
淡い金髪に深紅のワンピース。その笑顔はどこか儚く、それでいて……破壊力抜群。
???「わたし……あなたにだけは、笑ってほしいの」
──リリィ、心が一瞬だけざわめいた。
ヨシオ「……え、おま、誰?」
少女「わたしは“永遠のボケ”。名を……ルル」と言った。
ルル「わたしのボケは、“本気”なの。命を削ってるのよ?」
そして少女は、静かにこう言った。
ルル「クマのぬいぐるみ、食べたことある?」
──空気が、止まった。
リリィ「……それ、食う話か……?」
ヨシオ「こいつ……本物のカオスだッ!!」
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