第167章 体感時間
リリネッドとアラシュが結界に入ってすぐの事ー。
クロウは跪き頭に手を置く。
「いつから? いつから催眠を幻術を見せられていた?」
幻術を解く魔法を体に撃ち込んでから周りの状況を確認する。
だが、解除と当時にまた幻術を掛けられてしまう。
「こんなところ時間を掛けている場合じゃないんだよ!! (術者を見つけねえ~と!)」
魔力探知をして確認するクロウだったがアラシュが放つエネルギーが邪魔して探知できない。
「(あの結界に入って40分ぐらいか? 幻術を掛けられているから体感時間が狂っているから何とも思えんが) ごちゃごちゃ考えるのは面倒になった。 五感を揺るがすタイプなら確実に近くにいるはず」
「そうその通りだ」
「ん? なに?」
クロウの顔の横に奇妙な表情の顔が現れた。
魔術で払いのけてから距離を置く。気が付くと奇妙な顔は消えていた。
「どこ行った? でか、あの顔どこかで?」
姿を見せないまま声だけがそこに広がる。
「ヌフフガアアーッ!! 俺はフジドエム。 天空界ではお世話になったな」
「ああ? 天空界の人間か」
「俺はこの世界に来て新たな力を得た。お前らなんかに負けないほどに、幹部すら倒せるほどに」
「(アラシュって奴が一人でやったわけではなかったのか?)」
「知っているか? 幹部の下にいる十三ヶ騎士団を。彼らの力を人間と融合させることでその力を使う事が出来るのっだ。 俺は鶏の力を貰った」
「ベラベラと良く喋る。 人と話す時は、目と目を合わせろって習わなかったのか?」
「すまない、鳥目になってしまったのでね」
クロウは呆れた表情になり地面に手を置き分析を繰り返す。
「見つけた」
クロウは地面に細い糸の様な者を伸ばして触手をあらゆる場所に伸ばしていたことでフジドエムの場所を見つけた。
地面から無数の糸を螺旋状に上げフジドエムを閉じ込める。
「その糸は俺の特性魔力で作った奴だ簡単には抜け出せないぜ」
「(幻術をいつの間にか払いのけ続けている。同時に魔術を使うだと? バケモノか?) ならこうしよう」
フジドエムは魔力の糸の僅かな隙間から異分子を挟み込み空間を開けて、そこから外にいるクロウに向かって幻術を放つ。
クロウはそれをいともたやすく、幻術を無効にした。
「幻術を掛けるが姿を見せた時点でお前の負けだ。 そ・れ・に、俺って結構、幻術魔法が得意なんだよ」
「何?」
胡散臭い表情を見せたと同時にクロウが渦巻きのようにぐるぐるとと回り始めて、周りの背景はアイスが溶けたかのようにドロドロとなっていく。
「貴様の気配はわかっている」
糸の檻を壊して羽を鉄に変えクロウに飛びつく様に羽をクロウの首を掻っ切った。
顔は地面に転がりフジドエムはそれを踏みつぶす。
「はははははははははははははは、貴様なんかの幻術で勝てるわけがない!!」
フジドエムクロウの血しぶきを浴びながら高笑いをする。
クロウの旅がそこで終わった。
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「めでたい奴だな。十三ヶ騎士団の力を使う? モンスターだった物を魔物に変えて、倒されたら道具の様に人間の武器と化させるとは、癖共が!!」
白目で口を大きく開けながら気絶しているフジドエムの後ろで足を組みながら退屈そうにしているクロウがそう言った。
「リリネッドとアラシュが2人きりになって20分かな? 中の様子が見れないようにしやがって!」
クロウは立ち上がり結界で境界の壁に手を触れようとしたが跳ね返された。
「これは『ヒッキー・オブ・ザ・デート』に似たような魔術か? 多分、3.4つの魔法を組み合わせている感じだな。うん、壊すか!」
クロウは反射式の魔法を右拳に掛けてそのまま壁に向かって放つ。
壁と拳は磁石のS極同士の様に間にふわっとした物を感じながらも力、一杯に近づけさせる。
と同時に結界が壊れて、クロウはすぐに魔法を解く。
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リリネッドとアラシュは床に座っていた。
アラシュは話を終えてリリネッドは長い長い話を聞き終えた。
「兄は世界を一つにする為に中央国に話に言っている。その前に二つの国を回り、君の勇者の活躍を聞きに行った」
「なんか頭がクラクラするんだけど」
「それは私が見た聞いた物を勇者さんの脳に流しました」
「へぇ~、だからアナタがいないところも詳しく」
「そう」
「でも、なんか~」
「ん」
「アナタが聞いていたとしても鮮明すぎませんか?」
「君はすごいな! だから君にしてよかった」
「なぜ、私なの? 強い人はもっとたくさん」
「フッ…。 魔帝王は勇者を利用したいんだよ」
アラシュはそう言った瞬間、体が吹き飛んだ。
血しぶきががリリネッドに掛かる前にクロウが前にシールドを張って防いだ。
「お前がやったわけではないよな」
リリネッドは強く頷く。
クロウは破裂したアラシュの方を見るとぐじゃぐじゃの肉片がごにょっと動き出し、肉片が一塊に集まり別の人物へと姿を変えた。
「初めまして勇者・リリネッド様。私はクキチと申します」
「ああ? お前が科学s」
話しを続ける前にリリネッドからプレッシャーを感じて言葉が詰まったクロウ。
リリネッドの表情はいつもと変わらないのだがクロウは黙って腕を掴んだ。
「落ち着け、何がった?」
クロウはクキチの方を向きながら目線をリリネッドを見たがすぐに顔をそっちに向いた。
なぜなら、リリネッドの目や耳の穴から血を流し始めたからだ。
「リリネッド!!」
「ん? ンンッ! ガッフン!」
リリネッドは喀血を起こし地面に手を置く。
クロウはすぐにクキチの方を見た。
「いやはや、すみません。勇者の体が欲しくなり…」
クキチが話す途中でクロウが攻撃を繰り出すもまるで幻の様にすり抜けた。
「なん……だと……。」
リリネッドは何度も咳をしながら血は吐く。
「大丈夫です、君の体の中のいくつかを潰しただけです。殺すわけがない」
「(コイツには再生能力があるのに何で? いや、アレは死ぬことで発動だったか?)」
「おおっとクロウさん? でしたよね、貴方は面倒な方なので少し黙っててください」
クロウが動き出そうとしたが体が重くなり視界が歪み、そして動きが遅くなった。
「簡単に説明しますね勇者様」
「う…うっ?」
「まずあなたの感覚を20分ほど狂わせました。狂わせたというより飛ばしたともいえるだろう。君を閉じ込めたあの結界は外との時間の流れが違う。そして結界を壊すことで君の体は元の時間を取り戻すために20分を倍速で取り戻したんだ。そんなものなんでも君には耐えられないはず。 そしてその傷に私が作ったウイルスを君に記憶を読ませると同時に流して置いた。その事により君の体は血となり骨となり!! 私のモノへとなる」
リリネッドは剣で自分自身の心臓を突き刺そうと腕を動かそうとしたが腕の神経が切れ上げる事が出来ず垂れ下がる。
「君の体は壊れやすくなっているが、心臓や脳、周りは丈夫にしている。君は死ぬことで一瞬にして再生するタイプだよね」
リリネッドの膝が崩れ倒れ込む。
「さて、勇者の体の仕組みを知る前に次は君の記憶を見せてもらおうかな。いう間でもないが幹部も力も僕は使えるんだ」
クキチはリリネッドの頭に手を置き記憶を読み始める。
「ほうほう、勇者になる前まで見えて来たぞ」
とそこに何者かに足蹴りされて横に吹き飛んだ。
「何者だ!!」
「何者かって? あんたは知る必要があらへんよ」
「待て、どこかで見たぞ」
その者はクロウの掛けられた魔法を解き、リリネッドを浮かせながら手元に置く。
「まあ、そやけど教えたるで」
その者は優しい表情で、安心させてくれる声でその場にいる者たちに言った。
「元勇者のパーティーの一人、タツヤや、よろしゅう」
タツヤは右足を上げたあと地面に踵を叩き付けて土煙を起こしてリリネッド、クロウを連れて姿を消した。
クキチは悔しがると同時にアラシュを復活させる。
「奴らを追うんだ!」
アラシュが頷き走り出す。
同時に倒れていた幹部たちの意識がない状態で立ち上がりアラシュを追うように歩き出す。
「全く、時間がない。魔帝王が帰ってくる前に済ませる予定だったが……。さすが勇者というべきか」
クキチはその場にあった椅子に座る。




